コンタクトレンズメーカー、日本コンタクトレンズが11月15日付けで名古屋地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約15億7000万円(2016年2月期決算時点)。ピーク時の1996年2月期には売上高約40億円をあげていた。「ニチコン」ブランドで主にハードコンタクトレンズの製造や販売を手がけていたが、最近の傾向として利用者が使い捨てレンズに移行したことなどから売り上げが落ち込んでいた。
コンタクトレンズ市場の現状や今後はどうなのだろうか。
1964年設立の老舗
1964年設立、資本金3億6820万円。コンタクトレンズメーカーのパイオニアとしてコンタクトレンズのほかケア用品の製造と販売を手掛けていた。しかし、2007年2月期以降は後発を含む同業他社との競合、個人消費の落ち込みもあって、同社が得意とする短期交換型レンズの販売が鈍化していた。
2013年10月には外資系の販売会社の全株式を取得するなど、業容全体を含む確保に向けた取り組みを行ったが、すでに資本関係は解消。ピーク時の1996年2月期には売上高約40億円をあげていたが、そのため売上高は約20億700万円に低下し赤字となっていた。
使い捨てソフトレンズが人気
同社はハードレンズを得意としていたが、使い捨てのソフトレンズや低価格の眼鏡が普及したことで売り上げが低迷していた。
ハードレンズは、異常があったときにも気づきやすいことや、乱視矯正がしやすい、取り外しがしやすいなどのメリットがある。しかしデメリットもあって、個人差があるが慣れが必要(1週間~2週間)で、激しいスポーツに向いていない(ズレ・脱落しやすい)と言われている。
ソフトコンタクトレンズは、素材が柔らかいので装用感が良く、装用開始直後から違和感が少ないと言われている。またレンズがズレにくいため激しいスポーツにも向いていると言われている。最近はシリコーンハイドロゲルという酸素透過性の高い素材のレンズも開発されているようだ。デメリットとしては、角膜障害に気づきにくい、乱視矯正は専用になるといった点が指摘されている。
いまではワンデーや2ウィークなど短期間で使い捨てるタイプのソフトレンズが人気を集めている。
コンタクトレンズの将来は?
コンタクトレンズの市場規模は(コンタクトレンズ、ケア用品)、2015年が2154億円。ケア用品の344億円を合わせると2498億円規模という(調査対象37社 日本コンタクト協会調べ)。
コンタクトレンズの生産は減っているとの指摘もあるが、前出の調査では2007年には2000億円程度だったため、10年で500億程度は伸びている計算だ。
またコンタクトレンズの越境ECであるLENSMODEの事業にも投資しているエンジェル事業家の加藤順彦氏が、自身のブログなどで、世界のコンタクトレンズ市場の規模が2003年ごろは40億ドルくらいだったのが2016年には116億ドルにまで成長していることを指摘。さらにこの業界がこれから10年で「最も刺激的になる」と述べている。
その理由として、(1)大手4社が市場の9割弱を独占しており、どの製品も内外価格差がない。世界規模では中間所得層が増えるため(コンタクトレンズの)想定顧客が増える(2)スマホの普及などで視力矯正を必要とする人が増える(3)新興国の中間富裕層にとっては「見た目をよくする」ことが大事である(4)スマートレンズなどのデバイス、ウェアラブルとしても可能性が大きい--をあげている。
見逃せない動きとして、欧米では視力矯正のためにコンタクトではなく “手術” を選択する例が増えているという指摘もあるが、これも費用がかかるもので、どれだけ広がるかは未知数だろう。日本でもレーシックが手術が広く注目されたことがあるが、最近はあまり話題にならなくなっているようだ。
カラーコンタクトレンズの人気や技術の進歩もあって、コンタクトは一昔前と比べても広く普及しているといえる。今後は、ワンデーなど人気の使い捨てタイプのさらなる低価格化や、安全性、酸素透過性の向上など技術革新が求められるだろう。製造者にとっては大変な競争かもしれないが、市場そのものが伸びる余地はあるのかもしれない。(ZUU online 編集部)
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