どんな仕事もムダにはならない

実は、筆者も以前、主人公と同じような経験をしている。筆者はかつて、一部上場企業で貿易実務や生産管理をやっていたことがある。もちろん会社にとっては必要な仕事だが、筆者にはまったく向いていなかった。勤務当時は不条理を感じたものだが、今はそのことに対して「人生をムダにした」という思いはまったくない。なぜなら、一見ムダと思える努力でも、それをしたことによって、自分には向いていない仕事がわかったからである。

これをお読みのあなたが、もし「こんな仕事が、一体何になるのだろう?」と思うことがあったとしても、どうかそこで腐らないでほしい。特に20代の若い盛りにとっては、仕事は面白くないことの方が多いかもしれない。しかし決して、その仕事で自分の一生が決まるものではないのである。

今の仕事の先にチャンスがある

平社員の時には完全に消化不良だった筆者だが、自分がいた環境を最大限に活かした結果、社内ベンチャーを起こす機会を与えられ、独立するために必要なことはすべてサラリーマンの内に経験を積むことができた。諦めずに周りを見渡せば、必ず何かしらのチャンスはあるはずだ。

次の仕事につながるヒントとは、『逃げ恥』の「網戸の話」にある。つまり、今やっている仕事の中で、たとえどんなに小さなことであっても、評価されたことに、もっと力を注ぐことである。

確かに、それをやってもあなたの才能が開花するかどうかはわからない。しかし、やってみてダメなら別のチャレンジをすればいいだけの話であり、少なくともこれで選択肢をひとつ絞り込むことはできるのである。

「諦めが肝心」というよくある言葉には前置きがある。それは、「諦めた後に残ったものは簡単には諦めない」ということだ。

俣野成敏 (またの なるとし)
1993年、シチズン時計株式会社入社。31歳でメーカー直販在庫処分店を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)や『一流の人はなぜそこまで◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に10万部超のベストセラーに。2012 年に独立。複数の事業経営や投資活動の傍ら、「お金・時間・場所」に自由なサラリーマンの育成にも力を注ぐ。

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