オーストラリア議会委員会は11月24日、膨大な数の規制違反を犯している豪主要銀行に関する詳細や提案を述べたレポートを発表した。

オーストラリアでは相次ぐ大手銀行の不祥事をめぐり、政府、金融委員会間で戦いが繰り広げられる一方、10月にはウエストパック銀行、ナショナルオーストラリア銀行(NAB)、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)、コモンウェルス銀行のCEOの公聴会も開かれた。今後の不正再発防止策として、顧客データの共有なども提案されている。

過去7年間で50件以上の不正行為 豪四大銀行に求められる透明性の改善

議会委員会はレポートの中で、公聴会の報告および健全な銀行業務を提案。解雇に値する人物」として豪四大銀行のエクゼクティブの名前も挙げ、銀行の廃退に対する裁きを求めている。

それと同時に、銀行に対する5営業日以内の不祥事の公表を義務化、豪自由競争・消費者委員会(ACCC)内における監視組織の設置、銀行業務用API導入、FinTech企業を含む金融ネットワーク内での顧客・取引データ共有などの提案も行っている。

英ガーディアン紙がまとめたこれらの銀行による過去7年間の不正行為は、主要なものだけでも50件を上回っている。最近の不祥事はANZプラナーによる100万ドル(約1億1204万円)の横領、49万3000ドル(約5523万円)の罰金が課せられたウェストパック子会社による消費者保護法違反、コモンウェルス保険部門のCMOによる不公正取引など、数えあげるときりがない。

そのほか豪証券投資委員会(ASIC)からも、ANZ資産運用・保険部門による複数の違反行為が指摘されている。

消費者に透明性の高い銀行業務を提供する意図で、銀行の不正を明るみに引きずりだす動きが活発化している反面、法の介入を防ごうとする勢いも増していた。こうした不穏な流れを受け、10月7日、マルコム・ターンブル豪首相は国内銀行の不祥事の被害者救出に向け、トライビューナル(裁決機関)の設置を発表。

議会委員会の提案が承認されれば、豪金融環境が大きく前進することになる。現時点では野党労働党やスコット・モリソン財務相も提案を高評価しているが、初期コストの膨大さなどを理由に、議員委員会が設けた2018年7月という開始期限が「早急すぎる」との指摘もある。

しかし前アボット政権によって削減されたASICの助成金が増額されるなど、銀行業務の透明化に向けた動きが活発化していることから、何らかの決定的な改善策が講じられるとの見方が強い。(ZUU online 編集部)

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