人毛,ウィッグ,アミノ酸
(写真=Thinkstock/Getty Images)

スポットライトが当たることのない「Hair Trade(人毛取引)」産業だが、実は年間数億ドル(約数百億円)という巨大国際市場である。

人毛の売買というとウィッグやエクステなどが真っ先に思い浮かぶが、古くは日本でも製造されていた人毛醤油を始め、近年は肥料、アミノ酸、反物など、幅広い原料として非常に需要が高い。

EU諸国で売られていたベーグルのモチモチ感の秘密は人毛だった?

インド、中国、マレーシアといったアジア諸国のほか、ブラジル、南アフリカ、スペインなどでも、人毛取引は盛んに行われている。これらの地域には「Hair Factory(人毛加工工場)」が設置されており、美容院などから下取りしてきた不要な人毛を種わけ、選定し、ウィッグやエクステといった商品に加工している。

人毛と聞くと拒否反応を起こす人も多いが、人毛産業自体は非常に長い歴史を誇る。最も古い例では、紀元前3000年の古代エジプト遺跡からウィッグを着用したミイラが発見されている。一般に普及したのは古代ローマ時代以降。羊毛、植物繊維などから作られた代用品も出回り始めたが、人毛特有の艶や質感への憧れは衰える気配が見えず、現代でも世界中で人毛取引が行われている。

人毛ウィッグが高価な理由は、それだけコストと手間がかかるからだ。良質のウィッグひとつをつくるのに平均15万束の人毛が必要だとされており、原料費だけでも1500ポンド(約21万円)かかるそうだ。

人毛のもうひとつの利用法として、アミノ酸が有名だ。たんぱく質からできている人毛を分解すれば、アミノ酸になる。日本でも戦時中、戦後には人毛醤油が製造されていたという。

メーカーによっては人毛アミノ酸の使用を否定しているが、例えばEU諸国では今年3月に規制が設けられるまで、ほとんどのベーグル工場で使用されていたそうだ。またインドの村落部では土と牛糞で家屋の壁をつくる際、強化する目的で人毛を加え、アイルランドではナメクジ対策として野菜畑などにばらまかれる。「切った髪の毛=不用品を再利用する」という観点から見ると、共有経済の先駆けといえるだろう。

日本にも人毛買いとり業者が、宅配便などを利用したサービスを提供している。価格は重さや長さによって異なるが、某業者のウェブサイトに掲載された情報では、20㎝未満は500グラム1500円、41㎝以上の長さならば500グラム1万円で買いとってくれるようだ。(ZUU online 編集部)

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