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Written by 長尾義弘(ながお・よしひろ) 60記事

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年金って払う意味があるの? 「年金制度改革法」成立、この機会にあらためて考えてみよう

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

12月14日、「年金制度改革法」が成立しました。現在、私たちの年金の受取額は「マクロ経済スライド」が適用されていますが、今回成立した年金制度改革法ではさらに「賃金・物価マクロスライド」が適用されることとなります。

え? 賃金・物価マクロスライド? そう言われても分かりにくいですよね。

難しい話はさておき、誤解を恐れずざっくり言うと、新制度は「現役世代の賃金が下がった場合は、年金の受取額も下がる」というものです。この新制度については賛否両論があると思いますが、公的年金制度を維持するために必要である……と私は考えます。

この機会にあらためて、公的年金制度の意義を考えてみましょう。

年金の未納者が「約60%」もいる?

新制度は、私たちの老後生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

まず、現在年金を受け取っている世代は、受取額が減る恐れがあります。若者を中心とした現役世代も、たとえ年金を払い続けていたとしても、受取額が減る可能性があります。そう考えると、公的年金制度を維持するためとはいえ、少なからず不安な気持ちになります。

これでは、年金の未納者がますます増える可能性も否定できません。

一時期、私たちFP仲間で自民党の河野太郎議員のブログが話題になったことがあります。河野議員の見立てによると、平成25年度の被保険者全体の割合を加味した「実質的な年金の納付率」は約40%、つまり未納が「約60%」というものでした。同じく、20歳から24歳の納付率は21.4%、25歳から29歳は32.1%です。この数字を知ったときの驚きは、いまでも忘れられません。

ちなみに、厚生労働省によると平成26年度の年金の納付率は「68.9%」です。納付率は、未納者への取り立てによって改善傾向にあるとされていますが、この数字は低所得者など保険料を免除・猶予されている人が分母に含まれていません。先の河野議員の見立てにある、被保険者全体の割合を加味した「実質的な納付率」とは前提が異なる点に注意が必要です。

若い人でも年金は払ったほうが良いのでしょうか?

年金の「世代間格差」も無視できない問題です。

2015年、厚生労働省は公的年金の世代間格差に関する試算を公表しました。それによると、1945年に生まれた70歳夫婦の年金の支払額に対する受取額は「5.2倍」、同じく1985年以降に生まれた世代は「2.3倍」としています。

ところが、この数字も有識者やマスコミから「まやかし」だと指摘されることとなりました。

「まやかし」とされる理由は大きく分けて2つあります。

一つは前提となる数字を「経済成長率プラス0.4%」としていることです。もしマイナス成長だと格差はもっと広がります。もう一つは、試算ベースの保険料を「本人負担分」だけで算出していること。つまり、労使折半を前提に保険料を倍にして計算すると、支払った保険料と受取額は「ほぼ同じ」になってしまうのです。

確かに、現在年金を受け取っている人は、支払った年金額よりも「受け取れる年金額のほうが多い」世代です。一方、いまの若者の将来受け取る年金額が、支払った年金額と「ほぼ同じ」になるとすれば、果たして「年金を払う意味があるのだろうか?」との疑問を抱いたとしても不思議ではありません。

こうした年金の「世代間格差」も、若者の未納を助長している側面があるのではないでしょうか。

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