新興国危機、投資信託の「分配金重視」の時代は終わった

年初から世界の市場は大荒れが続いていた。昨年12月に米国が利上げを行ってから、流れが変わった。特に下げがきつかったのが新興国・資源国の通貨と株だ。

新興国市場の動揺は日本の個人投資家にも深刻な打撃を与えた。高い分配金が魅力だった通貨選択型投資信託を保有していた個人投資家はとりわけ大きな打撃を被ることとなった。

もはや、分配金重視で投資信託を選択する時代は終わったのだ。

大統領不在の「ブラジル五輪」 オリンピックと投資は相性が悪い?

6月にはブラジルのルセフ大統領の弾劾裁判の開始と、停職が決まった。そして、8月5日にはリオデジャネイロでオリンピックが開催され、開催国のトップ不在という異例の事態となった。

「ブラジルはこれから発展しますよ。オリンピックも開催されますから」そんなセールストークでブラジル関連の投資信託を売りまくった銀行員は、オリンピックをどんな気持ちで観戦しただろう。ギリシャもそうだったが、オリンピックは投資にとってろくなことがない。東京五輪では何が起きるだろう?と不安にもなる。

英国のEU離脱の衝撃 世界は「脱グローバリズム」へ?

英国の国民投票でEU(欧州連合)からの離脱が決まったことを受けて、世界の株式市場は同時安の様相を呈した。専門家の多くは離脱はあり得ないと考えていただけに、衝撃は大きかった。

今にして思えば、その後のトランプショックの前哨戦とも言えるような出来事だった。世界は確実にグローバリズムから保護主義へと動いていたのだ。

米大統領にまさかのドナルド・トランプ氏

英国のEU離脱に続き、またしても誰もが予想し得なかったことが起こった。米大統領選でトランプ氏が勝利を収めたのだ。

それだけではない。その後のマーケットの動きも、想定外だった。当初は世界中で株が売られるとの不安もあったが、フタを開けてみれば真逆の展開だった。「トランプラリー」に世界中が熱狂することになると誰が予想しただろう?

AIが運用する投資信託が台頭、銀行員の仕事がなくなる?

AIが普及すれば、銀行員の仕事がなくなる。とは言うものの、多くの銀行員はそんなことは起こらないとタカをくくっている。

しかし、現実には株式や債券などを対象に、プログラムに基づく運用に加え、AI(人工知能)が自動的に運用する投資信託も台頭している。AI型のファンドは人間の指示がなくても自ら学習しながら投資先を探すことで好調な成績を上げている。

海外だけの話ではない。日本でも三菱UFJ信託銀行がAIが運用する投資信託を立ち上げた。もはや、銀行員も安泰ではいられない時代が到来しつつあるのだ。

マイナス金利の国債が消える? インフレ期待の芽も

「日本の金利が上昇することなど考えられない」「日本はずっとデフレのままだ」多くの人がそう考えていたことだろう。

ところが、米大統領選後に米国で金利が上昇。日本にも金利上昇の波が押し寄せてきた。ついに長期金利はプラスへと転換し、インフレ期待の芽が出始めている。

私の周りでは、米大統領選後も多くの顧客がマーケットの動きに懐疑的だった。トランプラリーに乗り遅れた投資家は意外と多いのかも知れない。2017年はマイナス金利時代に終止符を打ち、インフレ期待が一層高まることになるのだろうか。その鍵は米国の次期大統領となる1人の男が握っている。(或る銀行員)

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