2014年に入ってからアベノミクスは少し調整段階に入ったように見えます。この状況の中、NISA枠をどのように活用しようか悩まれている投資家の方も多いと思います。中期から長期への投資を考える場合、株主優待をその利回りの一つとして考えることも悪くありません。四季報であれば株主優待を現金換算した実質配当利回りで確認できます。そんな株主優待は多くの企業がその制度を採用しており、始めての方の中にはどこから手をつければいいか分かり辛いとの声も聞きます。そこで、お得に利用する方法として代表的な銘柄を紹介します。
高額、高頻度で利用する企業があれば超お得!
株価の上昇によるキャピタルゲイン、インカムゲインでも配当金などはすべてお金なのですぐに利回りが分かります。しかし、そのインカムゲインの中でも商品券や割引券、特典を受け取る株主優待は「品物」がその対象となるため、人によっては価値とはならない場合も考えられます。逆に言うと、ちゃんとその「品物」の価値を有効利用できる状況にあれば大きな利回りとなって返ってくることになります。
つまり、周りに高額、または高頻度に利用している上場企業があり、その企業に株主優待があれば、株式保有を考えてみる価値はある訳です。本稿においては利回り計算は2014年5月の最終取引日だった30日の株価終値をもとに算出しています。また売買手数料は加味していません。
小売業、航空業、その他の3つに分けて考えてみましょう。
最も身近な小売業
身近にある百貨店や小売店。多くの上場企業が優待で買い物の株主優待の割引カードを発行しています。ダイエー〈 8263 〉と高島屋〈 8233 〉を例に見てみましょう。ダイエーは株価が301円です。2月末、もしくは8月末の決算の際に株式を保有しているとダイエー店舗において半年間有効となる優待カードが貰えます。最低50株保有で累計20万円の購入まで5%割引(=1万円)となります。最高は250株以上保有で累計100万円購入が5%割引(=5万円)です。株価301円で50株買い付けすれば購入金額は15050円となります。株価変動はないとして、年二回の優待権利を得たとすれば、利回りは132.8%となるのです。
つまり、ダイエーで年間30万1千円以上(月換算すると2万5千円ほど)の買い物をする方なら、50株を保有すれば一年で元がとれることになるのです。また、ダイエーには上限額がありますが、高島屋は買い物の上限額がありません。株価は999円で最低1000株必要なので、元手は10万円ほどかかりますが、単純に100万円ほどの買い物をすれば元が取れることになります。しかも上限はないので高島屋で買い物が多ければ多いほどその利回りは高くなります。
注意点としてはサービス対象外の商品や、併用できないサービスがあることです。百貨店や小売店のほとんどにこういった株主優待があります。普段から利用される企業が上場しているのであれば四季報や各企業のIR情報などを確認しましょう。
高利回りで有名な航空業
日本航空〈 9201 〉や全日空〈 9202 〉などの航空界社は高利回りで有名です。両社ともに共通している優待は国内線における割引です。どこへでも、どんなに繁忙期でも普通運賃の半額で購入することができます。例えば3月末決算で優待権利を得ると5月下旬頃に同年6月から翌年5月まで1年間有効な株主優待券が発送されてくることになります。つまり、ゴールデンウィーク・夏休み・年末年始など毎年、必ず田舎に帰るなどの予定がある方にはとてもお勧めですまた、エア・ドゥ(ADO)やソラシドエア(SNA)などが運航するANAのコードシェア便でも利用することが出来ます。注意点としては他の割引運賃との重複利用はできないことです。株価は222円、1000株で優待券1枚なので20万円ほどの投資額が必要となり、国内での長距離利用であれば利回り20%になることもあります。株数によって優待権利枚数が変わるので、ご自身の年間の利用回数などを鑑みて購入しましょう。