全国のミレニアル世代(18歳~34歳)男女850人を対象に、「お金の使い方」に関する2017年の抱負(始めたいこと)を調べたところ、「貯蓄」という人が最も多く41%、2位には節約(34%)が続いた。
この調査はVisaカードで知られるビザ・ワールドワイド(千代田区)が今年11月末にインターネットで行ったもの。
関心こそ高いが実際は「貯蓄ゼロ」も多い
2017年に始めたいことの3位に「健康管理」が30%でランクインしている。ミレニアル世代はこれから結婚や育児、住宅購入などのライフイベントがあるため、健康よりもお金に関心が高いのだろう。
お金が欲しいと思っても、それが行動に現れなければ結果は伴わない。実際、2016年の貯金有無を確認したところ、「貯金はできなかった」が32%もいたことが分かった。10万円未満は51%、50万円未満は76%、100万円未満で90%に至る。この結果を見れば、貯蓄という行動は難しいものだと実感できるだろう。
一方で300万円以上も貯金できている人が2%いることには驚きだ。国税庁によれば30歳~34歳の平均給与で約400万円となっている。ミレニアル世代であっても高収入を受け取っている人はいるだろう。そうはいっても300万円以上も貯金できるからには、お金のやりくりが上手であることに違いない。
貯蓄のテクニックは「無理せず節約する」こと
貯蓄は家計のいくらかを将来に取っておく行為だ。家計は簡単に言えば「給与」と「生活費」で決まる。貯蓄したい、もしくは貯蓄を増やしたいのであれば、「給与を増やす」か「生活費を減らす」必要があるのだ。
このうち給与を増やすのは副業でもしない限り難しいが、生活費を減らすのは可能だ。それがいわゆる「節約」である。
実際、貯蓄のために気をつけていることの1位は42%で「無理せずに節約する」となっており、2位が「手数料のかかるATMを使わない」、3位が「ポイントカードやマイルを活用する」と支出に関することだ。なるべく無駄遣いをしないことが貯蓄の第一歩であることが分かるだろう。
4位には「財布の中身を整理する」、5位は「定期的に通帳記帳する」とあり、こちらはお金のやりくりに部類できる。目的は出費を抑えるための行動だと考えられるが、残高、預金高を目で見て確認することで貯蓄の意識を高めているのだ。
貯金額が知っている人のほうが貯蓄しやすい
調査結果の面白い観点は預貯金残高が「見えている派」と、「見えていない派」に分けて貯蓄傾向を比較している点だ。結論は「見えている派」の方が貯蓄額は多いことが分かった。
この預貯金残高が見えているというのは、具体的には56%の人が「銀行口座で通帳残高を確認」、53%の人が「クレジットカード明細で確認」といった具合に、キャッシュを数字で管理できている、預貯金残高を知っている人だ。その他、オンラインバンキングでの確認している人もいるようだ。
2016年に貯蓄できた割合を見比べると、見えている派は73%が貯蓄できている。見えていない派は39%で、見えている派よりも少ない。預貯金総額を比べてみても、貯金総額1,000万円以上が見えている派は9%、見えていない派は1%となっている。
見えている派の預貯金総額を見ると、500万円以上1,000万円未満が11%、100万円以上500万円未満が32%だ。この時点で少なくとも100万円以上の預貯金がある割合は52%にもなる。見えていない派は76%が100万円以下になっている。預貯金残高を知っていることと、預貯金総額の大小は少なくとも何らかの関係があると言えよう。
注意すべきことは、あたり前だが預貯金残高を知るだけではお金は貯まらないと言うことだ。あくまで預貯金残高を知っている人は、預貯金残高に関心があり、貯蓄志向が高いだけである。
通帳残高を確認したり、クレジット明細を確認したりするだけで終わらせるのではなく、「無駄遣いなどを減らす」ことではじめて貯蓄が成功し始める。2017年に本当に貯蓄をしようと考えているのであれば、それを行動に移すようにしてもらいたい。
ただお金は使い道が大事だ。将来、どんなお金の使い方をしたいか考えると、目標金額なども明確になって貯めやすくなるだろう。(吉田昌弘、フリーライター)
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