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Written by 丸山隆平 12記事

スマホ決済の「長女」

日本全国、地方の土産店でも「コイニー」が使えるキャッシュレス社会を――佐俣奈緒子・コイニー社長

コイニー,スマホ決済
(写真=筆者)

スマホ決済というと日本では飲食店や美容院などを想像するが、Coineyの加盟店は、病院・調剤薬局、リフォーム、自動車販売企業なども多い。業種が業種だけにそこでの決済金額が数百万円に上ることも珍しくない。

「カード決済は店舗も消費者にもメリットが大きい。だが、日本ではまだまだカードが使えるお店が少ない。特に地方ではタクシーやお土産屋さんでも使えないケースが多い。私たちはクレジットカードの使える場面を増やし、さらにカードに限らず、さまざまなキャッシュレスの決済手段を『コイニー』というブランドに集約していきたい」--。

スマホによる決済革命の“長女”コイニーの佐俣奈緒子代表取締役社長に聞いた。(経済ジャーナリスト 丸山隆平)

 

佐俣奈緒子 1983年生。広島県出身。2009年より、米ペイパルの日本法人立ちあげに参画。加盟店向けのマーケティングを担当し、日本のオンラインサービス/ECショップへPayPalの導入を促進。2011年10月にペイパルジャパンを退職後、2012年3月にコイニーを創業。

自分でやりたいことをやりたいと思った

――オンライン決済で銀行業を再発明したと言われるPayPalの日本法人の立ち上げに関わられ、その後、コイニーを設立されたわけですが、学生時代はどんな人でした?

大学時代は投資銀行やベンチャーキャピタルなど興味があり、いろいろな会社を見ていました。高校生の時、留学先の米国でPayPalを使っていた経験もあり、日本法人の立ち上げ期に縁あって参画することになりました。PayPalでは主にお店向けのマーケティングに携わりましたが、約3年で退社し、コイニーの設立を目指しました。

――思い切りがいいですね。

やりたい事業が見つかったためです。カードリーダーなどのハードウェアは自社で開発したいと考えていたので、半年ほど時間をかけて、ハードを設計できるエンジニアやデザイナーなどのメンバーを集め、半年後に法人をつくりました。

――資金はどうされたのですか?

最初は自己資金ではじめ、その後シードラウンドとしてベンチャーキャピタル2社から資金調達を得ました。この段階では、設立前から相談していた投資家に結果的に投資いただきました。 会社設立後1年間はスマホ決済の規則への対応、パートナーとなるカード会社との交渉など準備期間となり、2013年4月にサービスインしました。

信頼している業者であればカードによる高額決済でも抵抗を感じない

――競合会社と比較してコイニーの特長は何ですか?

当社は病院・介護・調剤薬局などの医療関係、リフォームなどの住まい関係、そして自動車販売業の加盟店さんなどが多い。いずれもこれまでカード決済があまり普及していなかった分野で、意識的にリーチしています。

――筆者などはカード決済というとせいぜい、飲食店で2~3万円までの支払いというイメージがあるのですが、今や違う?

自動車販売ではオニキス・グループと提携していて、中古車の購入や車検時の決済で利用されでいます。LIXILのリフォームチェーンでは、営業が軒先などでのリフォーム代金の決済として、全国的に使われています。それぞれの商材の特性もあいまって高額決済になる可能性もありますが、消費者にしてみると、後から現金を振りこむよりその場で決済するほうが便利だし、信頼している業者であればカードによる高額決済でも抵抗を感じないのでしょう。日本人はポイント好きですから、同じ金額を支払うなら、ポイントがもらえるカードでという意識も今や強い。銀行振り込みより手間もかかりません。

――カード加盟店になるにはどの程度の時間がかかりますか?

従来、この業界では加盟希望企業の審査に1カ月もしくはそれ以上かかっていましたが、当社ではウエブから申し込まれた後、2営業日で審査を終えます。決済手数料も業種や事業規模を問わず固定で、『早い、安い、簡単』です。

――審査には何か独自のノウハウがあるのでしょうか?

ルール整備のための気合ですかね。それは半分冗談だとしても、従来と加盟店審査基準は変えずに行っていますので如何に迅速に終わらせるかです。もちろん、かつてのように本当にその店が存在するか実地調査することは、今やグーグルストリートビューで調べればわかるというように環境の違いはありますが、最終的にはいかに簡単にするかへのこだわりかと思います。す。

――現在の資本構成と今後の増資、上場計画は?

8億円が産業革新機構。5億円がクレディセゾン。1億円が初期のベンチャーキャピタルです。増資は必要な時に考えるというスタンスです。上場も今のところ具体的な計画はありません。

インフラ事業。途中であきらめず最後まで続けたところが勝ち

――このところ秋田銀行や長野県信組、西武信金など地域金融機関と提携を進めていますが、その狙いは何ですか?

秋田銀行、長野県信組、西武信金、茨城県信組とは、ビジネスマッチング契約で、各地域金融機関の取引先中小企業をコイニーの加盟店として紹介していただく内容です。これによって全国にカード決済を広めていく計画に拍車を駆けようと考えています。

住信SBIネット銀行とは、フィンテックの新技術・新サービスの共同開発・提供で業務提携しました。同行は、日々の取引データをリアルタイムに利用し、かつスピード感のある審査を行う新しい事業性融資サービス「レンディング・ワン」を提供しています。当社は、決済データとAIを活用し、迅速な企業評価・融資審査への活用を目指す「Coineyエンジン(トランザクションレンディングエンジン)」を発表しています。まずは決済データとそれを元にしたモデリングを実施し、融資審査を効率化し、迅速なマイクロファイナンスを提供予定です。

――中国のテンセント(騰訊)と提携していますが、その内容は?

テンセントはアジアパシフィック地域で最大のインターネット企業で、 QRコードをスキャンすることで決済ができるWeChat Pay(微信支付)を展開していて、中国国内ではコンビニから税金の支払いまで行えるなど幅広く浸透しています。コイニーは「両替がめんどうくさい」や「クレジットカードが使えない」といった訪日中国人観光客が抱える課題を解決していきます。

――コイニーの将来構想を教えてください。

私たちのやりたいことは、日本中にキャッシュレス決済を広げること。将来的には決済手段は必ずしもクレジットカードでなくともよいと考えています。生体認証でもよいので、これらを「コイニー」というブランドに集約していきたいと考えています。

先行するPSP(ペイメントサービスプロバイダー)を見ても今の規模になるのに相当の時間がかかっています。世界的にみても、決済事業は成長に時間がかかる類のインフラ業です。ある意味全国各地に電柱を建てているようなものなので、途中であきらめず、最後まで続けたところが勝つと信じています。

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