東芝,上場廃止
(写真=PIXTA)

2017年1月、アメリカのトランプ新大統領が就任するや、大統領選で掲げた中国の為替操作国認定、メキシコとの国境沿いへの不法移民防止目的の壁建設などの方針に、大統領就任後の対応が注目を集め、市場は神経をとがらせていた。就任演説での米国第一主義の強調を受け、日経平均株価は保護主義への懸念から値を下げる局面もあったが、大きな波乱には至らなかった。

しかし、東芝 <6502> による米原発事業関連での巨額損失が判明すると、落ち着きを取り戻しつつあった市場に激震が走った。日本を代表する大手メーカーが債務超過に陥り、上場廃止の危機に直面している。上場廃止といっても、その基準はさまざまで、今回はその項目に焦点を当てる。

東芝の上場維持は1年以内の債務超過解消がカギ

上場廃止と耳にすると、企業の事業が立ち行かなくなり、破産や民事再生を真っ先にイメージするかもしれないが基準は様々だ。たとえば、グループ会社などによる完全子会社化による上場廃止もあり、直近では、ミツミ電機 <6767> は、ミネベアミツミ <6479> の完全子会社化となり上場廃止銘柄となった。

市場が注視する今回の東芝のケースは、上場廃止基準の「債務超過」にあたり、債務超過の状態から1年以内に脱却できない場合に該当する。東芝は、米原発事業に伴う損失が7125億円に上り、16年12月末時点で1912億円の債務超過に陥った。さらに東芝が公表した見通しによると、16年度末も1500億円規模の債務超過の状態が続くとしている。同社は資金調達のため、稼ぎ頭の半導体事業を分社化し、株式を売却する方針。売却先は入札により選定する予定だが、売却先の選定手続きに時間を要すると、債務超過の状態が解消されず、上場廃止が現実味を帯びる。

流通株式数、時価総額にも上場条件

債務超過の項目のほか、流通する株式の項目にも上場廃止基準が定められている。例えば、流通株式数が2000単位未満の場合や、流通株式時価総額が5億円未満となると、上場廃止の対象となるが、1年間の猶予期間が設けられている。また、所定の書面を提出する場合を除き、流通株式(上場株式から、全体の10%以上を保有する株主が所有する株式など流通性が低いとされる株式を除いたもの)の比率が5%未満のケースも、上場廃止基準の対象となる。

さらに、株式市場で直近1年間の月平均売買高が10単位未満であったり、売買が不成立の期間が3カ月に及んだりするもののほか、株主数が400人未満(猶予期間1年間)の場合も上場廃止の基準としている。

時価総額にも規定はおよび、10億円未満のケースでは9カ月以内(所定の書面の提出がない場合は3カ月以内)に10億円以上を超えなければならない。08年には、北日本紡績 <3409> が時価総額10億円未満として東証2部から上場廃止となった。また、時価総額が上場株式数に2をかけて計算した数値未満だと、上場を維持するには3カ月以内にその数値を超えなければならないと定めている。

上場企業にはコンプライアンスも必須

上場する企業は、公の場で資金調達が可能となる一方、市場や株主に対するコンプライアンス(法令遵守)の責務もより一層高まる。有価証券報告書など提出する文書に虚偽記載があったり、不適正な意見により市場の秩序を乱したりする場合には、東京証券取引所などの取引所が上場廃止の判断を下す。06年にライブドアが有価証券報告書の虚偽記載により、上場廃止となったのを記憶している人もいるだろう。

上場企業の監査報告書や四半期レビューなどの文書で不適正な意見を述べたり、意見を表明しないなどと記載したりすることで、市場の秩序が守られないと取引所が判断すれば、上場廃止の対象となる。

また、このような文書を含む有価証券報告書や四半期報告書を法定期限の1カ月を過ぎても提出しない場合も、上場が維持できなくなる。さらに、特設注意市場銘柄に指定された間に、内部管理体制の改善などがみられないと取引所が判断すると、上場廃止の対象となる。上場企業が上場契約や新規上場申請などの宣誓事項に対して重大な違反をした場合も上場が維持できなくなるなど、上場企業にはコンプライアンスが求められる。

上場廃止基準のその他の項目として、破産手続き、再生手続きや銀行取引の停止などが挙げられている。この他、2011年にはシルバー精工が銀行取引の停止を理由に上場廃止となった。

経営再建中の東芝により、注目を集める上場廃止だが、債務超過の項目のほかにも、上場企業として達成しなければならない数値に加え、コンプライアンスに沿った企業規範も上場維持には求められる。株式市場での資金調達と引き換えに、上場企業が取り組まなければならない任務も多岐にわたる実態が、上場廃止基準から浮かび上がる。(ZUU online 編集部)

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