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三菱重工は2014年6月16日、ドイツシーメンスと連合を組みフランスの重電大手アルストムに対してタービン事業の40%、送配電機器事業の20%、水力発電システム事業の20%の取得を約5400億円で提案しました。一方、GEも同時期にアルストムのエネルギー事業の買収を総額1.7兆円で提案しています。この買収合戦はフランス政府の意向もあり、結局GEが勝利しました。本稿では当買収合戦から見える三菱重工の状況と危機感について述べて参ります。


三菱重工の決算、株価の概要

三菱重工は2014年5月9日に2014年3月期決算を発表しました。連結売上高は33,495億円(前年比5,317億円増)。営業利益は2,061億円(前年比425億円増)。当期純利益は1,604億円(前年比+630億円増)という好調な決算です。特に営業利益は1997年3月期以来の17年ぶりの最高益です。

株価も好調な決算を受け、それまでの下降トレンドから上昇トレンドに変わっております。2014年1月16日の年初来高値の730円から、じりじりと下降し、決算発表日の5月9日には年初来安値である530円をつけました。しかし、決算発表後は上昇トレンドにあり、6月に入ってからは600円台を付けております。株価面では市場はこの決算を好意的な観点を見ていることになります。

では、三菱事業はどの事業で売上、利益を上げているのでしょうか?三菱重工の事業はタービンや発電機の事業を中心とするエネルギー・環境事業、ボーイング787、MRJ等の飛行機や船舶を中心とした交通・輸送事業、駆逐艦、戦闘機等の君10関係を中心とした防衛、宇宙事業、エンジン・生産設備、フォークリフトなどを中心とした機械・設備システム事業の4ドメインとなります。

図1を見ればわかるとおりこの中で売上の3分の1強、営業利益の半分以上を上げているのがエネルギー・環境事業です。また、この事業はアジアでの電力需要、特に石炭火力発電所用のガスタービンへの需要の伸びが予想される、将来性も有望な事業となります。三菱重工にとっては、如何にエネルギー・環境事業における売上、利益を伸ばすことが重要な課題となってきます。

図1 三菱重工の各事業別売上高

(単位:億円)

売上高

営業利益

売上高営業利益率

エネルギー・環境

12,539

1,123

9.0%

交通・輸送

4,636

183

3.9%

防衛・宇宙

4,694

276

5.9%

機械・設備システム

10,963

516

4.7%

その他

1,850

146

7.9%

消去又は共通

▲1,189

▲184

-

合計

33,495

2,061

6.2%

出所:三菱重工IR資料より筆者作成