固定資産税を減らすには

固定資産税は田畑・宅地等の土地、家屋・店舗・工場・倉庫等の建物、及び、それ以外の事業に用いられる償却資産に対して課税される地方税です。課税対象となる資産が所在する市町村(政令指定都市はその政令指定都市、東京23区は東京都)に納付します。標準税率が1.4%と定められているもの、実際の所、地方自治体に応じてやや税率が異なる様です。

この様な固定資産税には対策する余地が色々存在しています。主な対策として「土地面積を確認する」「固定資産税に用いられる評価額を下げる」「住宅に置ける特例(小規模住宅用地の特例等)を活用する」「非課税資産を活用する」「減価償却して帳簿を合わせる」の5つが上げられます。以下、これらの節税方法を1つずつ詳しく説明します。

土地面積を確認する

最初は宅地を始めとする土地に対して課税される固定資産税の対策を検討します。基本的に土地に対する固定資産税は「評価額×土地面積」で決まるため、第2項の土地面積を減らす仕方を説明します。念のため、いくら土地面積を減らす方法と言っても、決して土地を販売して減らすと言う意味ではありません。具体的には、お役所が管理している土地面積が誤っていないか確認します。と言うのも、固定資産税を算出するのに用いられる「固定資産税台帳」には誤った内容が記載されている事例も結構あるからです。お役所の性格上、以前の土地面積をそのまま転用している可能性が高く、以前と比べ土地が狭くなっていても当時の土地面積が記載されている確率が高い様です。帳簿の方が誤っている場合、固定資産税を管轄する課税当局に申し立てて、該当する帳簿の内容を適切な面積に減らして貰いましょう。

万が一、帳簿の方が誤っていた場合、新しい土地面積が5年間遡って適用されるため、高額な還付金が戻ってくる可能性も充分に考えられます。以前は手作業で土地を測量していたため、面積が間違っていた事例が珍しくなく、航空写真を元に計算する様になった今も尚、その写真を撮影する角度に応じて面積が異なると言われます。帳簿上の面積が減少すると固定資産税も減少します。保有する土地が広くなれば広くなるほど土地面積を確認するのが面倒になるのかもしれませんが、そのぶん帳簿が間違っている確率が高く、また、間違っている量が増えると思いますから、納める方も面倒くさがらず土地面積を計算するのが固定資産税を節税するポイントです。

固定資産税に用いられる評価額を下げる

次は「評価額×土地面積」の第1項に当たる固定資産税に用いられる評価額を減らす仕方を説明します。まず、土地の評価額は3年に1回見直されますが、同一地番上に存在している土地の評価額は常に等しくなっています。一般的に同じ地番であっても「大通りに面している利便性が高い土地」と「内部に隠れている利便性が低い土地」では土地売買時の実価格が異なりますが、固定資産税を計算するための評価額は同一の評価額が用いられます。

しかし、土地を分筆することにより、それぞれ別の地番として扱われる様になるため、これによりブロック内部の利便性が低い土地に置ける評価額を下げることが可能です。分筆するには一定の費用が必要になりますが、ブロック内部の地価が低い時は非常に効果的です。また、第4章で詳しく説明しますが、土地を分筆することにより、固定資産税の課税対象外になる「道路」として扱われる様になる事例もあるため、これにより固定資産税を大きく減らせる可能性もあります。そして、住宅を始めとする建物に対して課税される固定資産税に関しても、土地と同じ様に評価額が3年に1回見直されます。通常の場合、建物自体の減価償却に応じて評価額が低下しますが、思ったより低下していない様な時は課税当局に申し立てる方が得策です。

小規模住宅用地の特例

3つ目は一般的な固定資産税対策として、マイホーム・アパート・賃貸マンション等の住宅に置ける特例を活用する仕方を説明します。住宅地には「小規模住宅用地の特例」と言う商業地・工業地にはない特例が存在しており、大半の場合、以上の特例を活用することにより固定資産税を大幅に減免することが可能です。具体的には、建物ではなく建物の下の土地に対して優遇が受けられ、敷地面積200平方メートル以下の部分が評価額の6分の5、200平方メートルを超える部分も評価額の3分の2が減免されるため、更地、または、住宅地以外の用地と比べ固定資産税が3分の1以下に減免されます。一部の地方自治体に置いて課税される都市計画税と言う地方税も同様です。今回の敷地面積は住宅1戸当たり面積で計算されるため、集合住宅では一層お得になります。既にマイホームを持っている人は残った土地を使ってアパート・賃貸マンションを建設するのも良いでしょう。

また、住宅には上記以外にも「新築住宅の税額の軽減」と言う優遇措置が存在しています。具体的には、居住面積が全体の2分の1以上、且つ、床面積が280平方メートル以下の住宅に置いて、床面積120平方メートル以下の部分に対して建築後3~5年の間、建物部分の固定資産税が2分の1になります。

この様に住宅には色々な特例が設けられているため、更地のまま放置して置くよりも、むしろアパート・マンション等を建ててしまった方が節税になる可能性も充分に考えられます。この様な住宅に置ける特例が固定資産税を節約する最大のポイントです。