投資には2つのスタイルがあります。値上がりしそうな(あるいは値下がりしそうな)株式を購入して(売却して)値動きに応じて短期に売買を繰り返して利益を追い続けるデイトレーダーのような投資スタイルと、特定の銘柄を長期間保有して、その企業やファンドの成長をじっくりと見守る、という長期的な視点を持つ投資スタイルです。
前者の場合は「投資」というよりもむしろ「投機」に近いといえるでしょう。前者を「肉食系投資」、後者を「草食系投資」に例える人もいます。「肉食系」が獲物を追い求めるなら、「草食系」は足元の草の成長を待って、ゆっくりと食べる、というようなものです。「草食系」のファンド3者が集まった「草食系投資隊」というのも、静かな話題になっていて、熱心なファンを獲得し、保有資産を拡大し続けています。「草食系投資隊」の中には30年の長期的な視点での投資を勧める「コモンズ30」という商品も扱われているぐらいですが、NISAで10年間、投資を続けるのも長期投資のひとつです。
長期投資のメリットとは
長期投資のメリットとは、激しい経済状況に振り回されず、自身のスタンスと財産を守り続けることができるということです。確かに相場は秒単位で値動きし、要人発言や大事件の発生次第で、大きく変動します。リーマン・ショックなどはその代表的な例でしょう。また、最近の米国のデフォルト懸念もニュースになりましたが、決着はつくだろうという観測が織り込み済みだったので、それほど相場は大きく動きませんでした。また、相場は投資家の「思惑」で動きます。しかし、経済は、長い目で見れば、成長するのが当然なのです。ここ20年~30年間のバブル、そして崩壊、リーマン・ショックの世界的な波及、国際的な財政危機の露呈による経済不安、そして東日本大震災の発生など、これでもかというほどの世界的な経済の不幸な低迷状況は、むしろ異例ともいうべきでしょう。長期投資は、経済の小さな変動にとらわれず、大きな波に身を任せて未来を信じる、というスタンスなのです。それをメリットと感じるかどうかは人それぞれですが、専業のトレーダーでない限りは、相場の動きに一喜一憂する時間はないので、安心できる投資スタイルだと言えます。