自動車関連の技術開発に取り組むスタートアップ、いわゆる「AutoTech」(オートテック)企業の第1四半期の資金調達額が、13億700万ドル (約1425億8063万円/2017年5月19日まで)に達していることが、CBインサイツの調査から明らかになった。

通期予想は34億3300万ドル(約3747億8061万円)と、過去最大の伸びを記録しそうだ。

自動運転車の実用化が秒読みに入るなど、自動車関連の技術開発が急速に進む中、大手、スタートアップ共に、さらなる飛躍が期待できるだろう。

第1四半期は大型投資が中心に

2012年から活発化の兆しを見せ始めたAutoTechは、2015年を境に急激に成長し続けている。2015年と2016年の資金調達額は、2012年のほぼ10倍。11億ドル(約1200億5400万円)を上回った。

2017年はより大きな跳躍を見せ、第1四半期だけでも13億ドル(約1418億8200万円)を突破。年内には34億3300万ドル(約3747億8061万円)に伸びると予想されている。

調達額が増えているにも関わらず、取引件数は減っている点が新たな潮流だろう。2017年第1四半期は2016年のおよそ半分(49件)の取引しか成立していない。つまり大型投資が軸になりつつあるということだ。

また2012年には過半数だった「シード(設立準備段階)」に代わり、「その他」の成長ステージに区分されるAutoTech企業 の資金調達が勢いを増しつつある。

ADASスタートアップ、Google率いるWaymoに注目

資金調達の66%を独占しているのは米AutoTech 企業で、カナダ(6%)、イスラエル(5%)、中国およびフランス(各3%)が続く。そのほかの国も17%だ。

AutoTechに興味を示す投資家は増加傾向にあり、2016年には200人を超えた。2017年のほぼ7倍だ。先進運転支援システム(ADAS)関連の商品・技術開発が、注目を集めている。

ADASスタートアップは第1四半期に7億7900万ドル(約850億2006万円)を調達。年内には総額20億4600万ドル (約2233億44万円)を獲得すると予想されている。6億ドル(約654億8400万円)弱を調達した2015年、2016年と比較すると、驚異的な成長力だ。

それと同時にWaymo (Googleの自動運転車プロジェクト)など、大手によるADASも着実に伸びを見せている。

個性的なADASスタートアップが続々登場

総額1億3450万ドル(約146億7260万円)を調達したカリフォルニア発のスタートアップ、Quanergyは、自動運転車用センサーデバイス「Lidar」 を開発した。半径300m以内の物体の位置・形状を3Dマッピングするという技術だ。

自動運転中の視界能力を高めるナノアンテナに成功したのは、2016年にカリフォルニアで設立されたばかりのOrxy 。「Lidar」が光電子センサーを利用して光のエネルギーを検出しているのに対し、ナノアンテナは電磁波を検出するため、より多くのデータにアクセスが可能だという。またよりも低コストという利点もあり、すでに1700万ドル(約18億5453万円)の調達に成功している。

CMOS イメージセンサーで1660万ドル(約18億1089万円)を獲得した、パリのChronocamも面白い。「人間の目が継続して変化しているものに注目する」という原理をコンピューター・ビジョンに取り入れ、自動運転に最適化されたカメラ技術の開発 に挑んでいる。
画像処理をクラウドではなくデバイス上で完了させることで、データ処理のスピードアップを図る。カメラに取りこんだ画像をピクセル単位で分析し、効率的なビジョン・テクノロジーを実現している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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