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余裕資金を活用しよう

日銀による資金循環統計によると日本の家計には約1600兆円の資産が存在しますが、その資産の保有形態をみると面白い実態が浮かび上がります。53.5%の資産は現金/預金で保有され27.3%が保険、8.5%が株式、4.7%が投資信託、1.9%が債券となっています。その中で、半分以上のお金を金利がほとんどつかない円預金で持っている訳です。これでは消費税の増税や、日銀の目指す2%インフレが実現してしまうとお金の価値が目減りしてしまう状態ですよね。そのような状況下で注目されているのが外貨預金です。今回は外貨預金においてどのような要素に着目すればより賢く投資できるのか解説できればと思います。


①為替手数料って何?(為替スプレッド=コスト)

資産運用としての外貨預金を考える際重要な事は必要なコストをしっかり把握することです。

いくら為替相場が円安に動いた(例えば1米ドルが100円から105円に上昇する事:円の価値が1米ドルあたりの価値に対して低くなるので円安という)からといって手数料で大きなお金を払っていれば利益を出す機会は激減します。

一般的な銀行での外貨預金におけるコストは往復の為替手数料が挙げられます。これは海外旅行をされる際、空港で円から外貨への両替を思い出していただければ簡単に理解できるコンセプトだと思います。仲値と呼ばれるレートから手数料を足した額で外貨を買いますよね。反対に売る時には仲値から手数料を差し引いた額で外貨を売ります。この額がどれくらい小さく抑える事ができるかにより利益は大きく異なります。また利益をだせる機会も著しく低減します。1円や2円の事で何が変わるのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、投資額が大きくなると、比例して手数料額は増大します。仮に1米ドル100円の状態を想定すると、片道1円の為替手数料だと1%の手数料を支払うことになります。対して片道が0.15円のネットバンクを使えばわずか手数料が片道0.15%ととなります。1000万円の元本に対する手数料額を考えると1%の手数料では片道10万円支払うことになります。対する0.15円の銀行であれば支払いは僅か15,000円となります。違いは明らかですよね。


②年あたりの為替の変動率(ボラティリティ)

コストが理解できたところで外貨預金に対するリスクを考えてみましょう。外国為替相場に対するリスクには2つの概念があります。1つ目は市場の変動に伴い損失が生じる「危険」という意味のリスクです。日本銀行が公表をしている円の対米ドル為替相場によると、1995年から2013年末までの1年あたりの18年間で為替の変動率は年あたり-20.2%から+22.1%まで大きくばらついています。マイナスの年が9回プラスの年が9回となっています。これを基に計算すると年あたりの損失がでる可能性は過去18年中9回がマイナスとなったので50%(=9/18)となります。また過去最大の落ち幅となった2008年のマイナス20%を超える水準となる可能性は過去18年中の範囲で考えると1度なので5.56%(=1/18)となります。このようにリスクを定量的に前もって理解しておくことで元本に対する損失がどこまで膨らむ可能性があり、またその確率がどのようになっているかを把握することができます。今回は過去18年分を例に挙げましたが、調べる範囲を広げて調査してみるとより詳しく実態をとらえることができます。

リスクのもう一つの意味は「不確実性」としてのリスクです。将来の価値が定かでないという意味を表します。故にマイナスに動いてもリスクですし、プラスに動いても不確実性という意味ではリスクとなります。この不確実性のリスクも過去の相場を基にある程度定量的に把握できます。 日本銀行が公表をしている円の対米ドル相場に基づくと1995年から2013年末までの1年あたりの為替の変動率の平均は+0.8%となっています。この18年間は比較対象年末の為替レートと前年末のレートを比較すると、毎年平均0.8%ずつ上がっている事になります。上記の損失を被る可能性リスクとあわせて各通貨ごとに是非理解しておきたい情報です。この数値をみると手数料で1%を支払う事がいかに大きなことか改めて理解できますね。


③各国通貨金利:金利でどこまでカバーできる!?

2014年1月5日現在主要国の政策金利はこのようになっています。日本円0.1%、米ドル0.25%、豪ドル2.50%、NZドル2.50%、イギリスポンド0.5%、ユーロ0.25%、スイスフラン0.00%、カナダドル1.00%となっています。NZドルは2014年利上げが囁かれていますが仮に余裕資金を10年間2.50%で単利運用したとします。実際は金利は変動しますし、複利計算を必要とします。また税金も考慮するため、計算は複雑化しますが話をシンプルにするために平均2.50%を単利で10年運用することを想定し、その外貨に対する利子がどこまで為替の下落リスクや為替手数料をカバーできるか考察します。外貨建てで得られる利子の総額は2.50%×10年間で25%となり為替が現在の水準から25%おちたとしても、ちょうど損益分岐点と同水準となる訳です。これに為替手数料を考慮しても、為替が外貨預金開始時と全く同水準であれば20%近く税引前で利益をあげる事ができますよね。このように仮に金利の平均値が10年で2.50%で運用できるような通貨であれば、為替手数料を支払ったり、為替が大きく上昇しなかったとしても中長期的にみると利益をだせる可能性は高くなるといえます。


為替手数料が重要な理由

以上の事を考察すると為替手数料が重要になる理由には投資期間が関係してくるようです。金利で為替手数料をカバーするにはある程度中長期にたった投資の視点が必要です。短期で為替手数料分のコストをカバーするには為替相場がプラスに大きく動く必要があるためです。要は為替差益だけで外貨預金の利益をとりにいくのか、あるいは金利と為替差益両方を狙いにいくのかにより投資戦略が異なります。そのため投資の前には上述の、為替の変化率、最大の騰落率、金利、為替手数料を考慮の上、投資期間を割り出す必要があります。2014年前半はIMMポジションの巻き戻しから円高が進行する可能性があり外貨預金を始めるタイミングがでてくると思われます。投資戦略をしっかり立てた上で、各銀行の外貨預金における為替手数料を調査してみはいかがでしょうか。手数料率ではネット系銀行が実店舗をもつ銀行に比べ顕著に低いようです。

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photo credit: Robyn Hooz via photopin cc