横浜銀行がスマホ決済の新サービス「はまPay」の提供を7月3日から始めた。スマホがデビットカードの代わりとなり、利用者は加盟店の支払い時に専用アプリで決済を行えば、銀行口座から自動で代金が引き落とされる。スマホを使った決済サービスは増えているが、銀行が提供する物は珍しく、今後の決済サービス市場に影響を与える可能性もある。

スマホ版デビットカード

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サービスロゴと加盟店の店頭などに表示するサイン(画像=横浜銀行プレスリリースより)

横浜銀行が提供する「はまPay」は専用アプリを銀行口座と連動させ、クレジットカードなどを介さずにスマホ決済する。利用代金が銀行口座から直接引き落とされる仕組みであり、スマホ版デビットカードとも呼べる。

利用者は事前にアプリをダウンロードし、横浜銀行の口座を決済口座として登録する。横浜銀行と契約した加盟店での買い物時に、アプリ上で利用店舗を選び、暗証番号を入力するだけで決済が完了する。利用代金は口座から即時に引き落とされ、翌日に加盟店の口座へ入金される。

同サービスは決済代行サービスのGMOペイメントゲートウェイ <3769> と共同で開発したものであり、2016年10月に発表されていた。当初は2017年3月からの提供開始を予定していたが、スタートの時期が遅れていたようだ。7月2日に専用アプリがAndroid版、iOS版共にリリースされており、3日よりサービス開始を行うと見られる。

クレジットカードが不要 加盟店にもコスト削減の恩恵

スマホで簡単に決済が出来るというだけが、同サービスのメリットでは無い。他のスマホ決済サービスと異なる点は、クレジットカードが必要無い点である。利用代金は銀行口座から直接引き落とされる為、利用者はクレジットカードやデビットカードの登録が必要無い。加盟店にとっても、クレジットカードを経由すると数%の手数料が掛かるが、同サービスだと1件あたり50~150円程度の口座振替手数料のみで済み、コストが抑えられる。翌日には代金が入金されるという点も魅力である。

また、加盟店は決済用の端末を導入する必要も無く、加盟店向けのアプリをインストールするだけで良い為、サービス導入の手間や初期費用は少なくて済む。利用者も加盟店であれば、どこの店舗でも同サービスを利用できる。

利用者向けアプリでは決済だけでなく、クーポン受信やスタンプカード機能も搭載されている。加盟店向けアプリにも利用状況を蓄積し、マーケティングに活用できる機能が備わる。

スマホ決済には米アップルの「アップルペイ」など、様々なサービスがあるが、「はまPay」は銀行が行う珍しいサービスであり、銀行口座と直接結びつく点に大きな特徴がある。

普及には加盟店の増加が必要となり、横浜銀行は今後加盟店開拓を進めていくと見られる。また、GMOペイメントは同様の仕組みを他の銀行へ横展開で提案していく予定であり、別の銀行でも同じようなサービスが生まれる可能性もある。各銀行が独自のサービスを提供する形となれば、影響力は少ないと見られるが、相互に連携が図られると、スマホ決済サービスの新たな潮流となる可能性もある。まずは横浜銀行の実績がカギとなる為、「はまPay」の動向に注目したい。( FinTech online編集部

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