ソニー銀行が投資型クラウドファンディング「Sony Bank GATE」を始めた。国内の銀行が投資型のクラウドファンディングプラットフォームを持つのは初めてという。最初の挑戦企業はスマートホームIoTデバイスの提供をめざす株式会社リンクジャパン(河千泰=かちやす=進一CEO)で、1口5万円で200口募集したところ、すぐに達成。募集は一時停止となっている。(濱田 優・FinTech online編集長)

企業が投資型クラウドファンディングに挑戦する意義とは

クラウドファンディング
eRemote Proをデモ実演した河千泰CEO(写真=FinTech online編集部)

目標リターンは1.07倍。出資特典は1回の申し込み4口につきeRemote proを1台もらえるという。リンクジャパンによると、このeRemote proは国内で初めて電流センサーを搭載したスマートリモコンデバイス。たとえば従来のスマートリモコンは、スマホなどを通じて外出先から自宅のリモコンをオン-オフできていた。しかし本当にオン-オフされているのかの確認はできない。

しかし電流センサーを搭載したeRemote Proなら、電流の有無をスマホで確認できるため、オンになったか、オフにできたかが分かる仕組みだ。

投資型クラウドファンディングとは、スタートアップなど資金を必要する企業と投資家をネットでマッチングさせるサービス。寄付型や購入型は金銭のリターンをともなわないが、Sony Bank GATEはあくまで投資型(ファンド型)で、同行の口座を持つ20歳以上の顧客なら投資できる。出資金は償還されないものの、事業計画上の売り上げが達成されれば出資金相当額を上回る分配をするという。逆に達成できないリスクももちろんある。

クラウドファンディング市場は年々拡大している。矢野経済研究所の調べでは、2013年には125億円程度だった国内の市場も今年度は1090億円に達する見込みだ。

事業発表の会見が8月8日に開かれ、ソニー銀の住本雄一郎社長があいさつ、事業開始の狙いなどを語ったほか、同行執行役員新規事業企画部担当の田中浩司氏も登壇してSony Bank GATEの概要を説明。さらにリンクジャパンの河千泰CEOと、ソニー銀新規事業企画部の中路宏志副部長が対談した。

クラウドファンディング
(左から)中路、河千泰、田中、住本の4氏(写真=FinTech online編集部)

河千泰CEOは会見で、挑戦した理由として「資金調達手段の中でも投資型クラウドファンディングであれば(株を渡さなくて済むため)独自性が保てる」「マーケティング効果がある」と同時に「銀行が運営するプラットフォームという信頼性がある」ことを指摘した。

Sony Bank GATEのコンセプトは「顔の見える新しい形の資産運用×挑戦企業への共感・応援」。経営者の思いや事業の詳細、進捗などを開示しながら新しいビジネス創出につなげると同時に、顧客への新しい資産運用の選択肢としたいという考え。今年度の挑戦企業追加は月2社程度、3年で累計70社程度、40億円以上を見込むという。( FinTech online編集部

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