◉これまで、シェール革命の影響が国内で乏しかった理由


これまでの投稿でお伝えしてきた通り、シェール革命はアメリカ内ではまさに夢のエネルギーと、言わんばかりの状況です。しかし、日本ではシェール革命の好影響を得ている感覚はまだありません。

実はシェール革命によって、天然ガスの国際価格は今大変に値下がりしています。しかし、日本が輸入できる天然ガスの価格は下がっていないのです。

日本が買うLNG(液化天然ガス)が高額な理由は、石油危機後にガス価格を原油価格に連動させ、さらに20年の長期契約とする国際慣行に従ってきたためです。そのため、アメリカのシェール革命で天然ガス価格がどんどん下がり始めたにも関わらず、契約価格と市場価格の差は大きく開いています。

現在、日本では、原発が止まり火力発電の比率が高まり、火力発電に使用する天然ガスの輸入価格を少しでも引き下げることが急務と言えます。

ちなみに、ガス資源の輸入価格形成においての不利な状況を、日本もただ手をこまねいて見ていた訳ではありません。
以前にも投稿した様に、総合取引所の開設などを通して、価格形成の主導権を握る努力をしています。

参考:狙いはコモディティー価格形成の主導権?〜「総合取引所」に関するお勧め記事のまとめ〜


◉米国から日本へのシェールガス輸出、3月にも解禁予定


もう一つ、日本に入っているガスの価格が高かった理由があります。
今まで米国は、国内で産出されるシェールガスの輸出を自由貿易協定(FTA)締結国以外には禁じていたのです。その為、米国と自由貿易協定を締結していない日本には、安価なシェールガスが米国から輸出されてきませんでした。

しかし今、この流れに変化が起きようとしています。

今年(2013年)3月にも、米政府によりシェールガスなどの天然ガス輸出の許可が出されるようになる公算が高いとされています。
そして、輸出計画の審査では日本の企業連合が参画する事業の優先順位が高い状況にあり、なかでも中部電力と大阪ガスが加わる米テキサス州の事業、「フリーポート」の早期認可が有力視されています。輸出基地となる港湾施設などが整備されており、地元テキサス州の支援も得られるためです。
認可されれば、17年から、ひとまず年間440万トンを日本に輸出できるようになります。

またこの他に、三井物産・三菱商事が参画する米ルイジアナ州での「キャメロン」も申請が早く、輸出解禁が有力視されています。東京電力は2013年2月6日、これら2商社から、合計で年80万トンのLNGを調達する計画を正式発表しました。2017年から約20年にわたってLNGを買い取る計画です。

2011年の3月の福島第1原子力発電所の事故以降、火力発電によるLNGの需要は日本国内で大きく高まり、2012年は消費量が前年比で約11%も増えました。
この様な状況にある日本にとって、米国での安価(輸送費用込みでも現行の2分の1)なシェールガスの輸出解禁は、経済の追い風になるものと思われます。