◉「日本に忍び寄る光」ガス資源の値下がりや関連産業への好影響
本記事執筆時の2013年2月12日現在、関西電力の大飯原発3・4号機を除く全ての原発が止まっています。現在日本では火力発電所向けのLNGの需要が急増しており、輸入も急増しています。日本の化石燃料の輸入額は年間3兆円も増え、貿易赤字の主因の中の一つにもなっています。
電力コストも2割程上昇しており、特に製造業には負担の大きい状況が続いています。
上記の通り、日本は現在かなり割高なLNGを購入しているため、米国産の安いシェールガスが輸入できるようになれば、電気料金の値下げなどに繋がり、産業全体の競争力の向上に役立ちます。
他に間接的な影響ですが、ガス資源の調達先が増える事で、現状の調達先に対する価格交渉力が上がる効果も期待できます。
また、上記の様なエネルギー価格の低下以外にも、日本はシェールガスの掘削や加工に必要な技術で強みを持っています。そのため米国でシェールガスの掘削・利用加速することにより、国内産業に恩恵が広がる可能性もあります。
参考:世界を変える大革命?〜話題のシェール革命についてお勧め記事まとめ〜
◉「日本に忍び寄る影」自然エネルギー産業や、国内化学産業にはマイナス影響も?
ただ、シェール革命の進展は、日本にとってマイナスの影響も与えます。
例えば、米国の化学メーカーが、シェール革命により材料の調達コストを大きく下げたため競争力が向上し、相対的な日本の化学メーカーの競争力低下に繋がっていると言われています。
他に、安価シェールガスなどの供給が進む事は、太陽光発電や地熱発電、また充電池など、再生可能エネルギー関連の研究や実用化のインセンティブを下げる効果も働きます。
シェール革命により、ガス資源については当面枯渇の心配は無くなったと言われています。しかし掘削時の環境破壊の問題も指摘されており、再生可能エネルギーなどの研究は継続されるべきだと思います。
参考:
日本版エネルギー革命?〜注目を集める地熱発電についてのまとめ〜
ここまで全4回に分けて、注目を集めるシェール革命に関する話題をお届けしてきました。
以前からシェール革命は注目を集めていましたが、米国から日本への輸出解禁の可能性が高まった事や、一般への理解の浸透を受けて、2013年に入ってから昨年以上にシェール革命が注目されているように感じます。
経済全体に大きな影響のあるテーマですので、また追加情報を適時アップデートしてければと思っています。
BY TOMB