シンカー:7月の失業率は2.8%と、6月から変化は無かった。7月の有効求人倍率は1.52倍と、6月の1.51倍から更に上昇し、1980年代後半のバブル期のピーク(1.46倍)を超えた状態が続いている。7月の正社員の有効求人倍率は1.01倍と、6月から変化はなく、1倍を超えた状態が続いている。1980年代後半も、失業率が1987年の3%からその後の2%に低下していく局面で、賃金が強く上昇し、内需が強く拡大した。現在はようやくその入り口までたどり着いたところであり、これまで景気拡大の実感がなかったのも無理はない。バブル期との類似を考えれば、これから失業率が2%台で定着する中で、賃金の上昇と内需の拡大をともない景気拡大の実感が急に生まれてくると考えられる。

SG証券・会田氏の分析
(写真=PIXTA)

7月の失業率は2.8%と、6月から変化は無かった。

現在、失業率が3%程度まで低下し、労働需給はかなり引き締まっている。

企業の雇用不足感が賃金の上昇や省力化・効率化への投資を促し始めている。

新年度入り後の雇用の確保に苦戦する企業が、特に非製造業や中小企業で見られ始めた。

今年の春闘の賃金伸び率は、中小企業が大企業を上回ったとみられることは、雇用不足感がとうとう賃金を押し上げ始めた証拠と考えられる。

今後、政府の働き方改革の推進もあり、企業は賃金の引き上げや待遇の改善に取り組み、既に職を持っている労働者のよりよい条件の職を求める動きも活発になるだろう。

条件の改善が魅力的になり、労働市場に新たに出てきた労働者も増えるだろう。

結果として、今後、失業率が2.5%へ向けて低下していくペースは緩やかだろう。

しかし、失業率が2%台に定着すると経済を取り巻く環境が大きく変化ていくとみられる。

7月の有効求人倍率は1.52倍と、6月の1.51倍から更に上昇し、1980年代後半のバブル期のピーク(1.46倍)を超えた状態が続いている。

7月の正社員の有効求人倍率は1.01倍と、6月から変化はなく、1倍を超えた状態が続いている。

労働需給の引き締まりが賃金上昇を強くし、物価上昇が緩やかに高まっていくという好循環が明確になってくるのかが今後の注目である。

1980年代後半も、失業率が1987年の3%からその後の2%に低下していく局面で、賃金が強く上昇し、内需が強く拡大した。

現在はようやくその入り口までたどり着いたところであり、これまで景気拡大の実感がなかったのも無理はない。

バブル期との類似を考えれば、これから失業率が2%台で定着する中で、賃金の上昇と内需の拡大をともない景気拡大の実感が急に生まれてくると考えられる。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
会田卓司

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