ビットコインの価格が急落した。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOが「ビットコインは詐欺」と発言したことで値を下げ、さらには中国の大手取引所が取引停止を発表したことで、9月14日は3490ドル、翌日15日には3275ドルと、急騰以前の8月上旬と同じ水準まで後退した(コインデスク調査)。
ビットコイン市場にとっては中国のICO廃止騒ぎに輪をかける、ネガティブな流れが続いている。
「仮想通貨は後味の悪い終結を迎える」
ブルームバーグの報道によると、ニューヨークで開催された投資家カンファレンスに参加したダイモンCEOは、仮想通貨を痛烈に批判。痛烈な批判は自社のトレーダーの行動にまでおよび、「仮想通貨を取り扱ったら解雇する」とまで言い放った。
「チューリップ・バブル(17世紀にオランダで起きた世界最古の金融バブル)」を引き合いにだし、「オランダの球根より悪質だ」と言及。「仮想通貨は後味の悪い終結を迎える」と、仮想通貨バブルの崩壊を予言した。
また自社のトレーダーがビットコインの取引を行った場合、「社の規則に反する愚かな行為」であり、そんな「愚かな従業員」は即座に解雇する意向を明らかにした。
中国当局の取り締まりが強化 今後もさらに厳しく?
前後して中国の大手取引所、ビットコインチャイナ(BTCC)の取引停止発表が報じられた。コインデスクなど大米メディアの報道では、中国当局から9月上旬に受けた通達に従い、今月末で取り引きを全面停止する意向を、中国のメディアやTwitterで明らかにしたという。
同様の動きがほかの取引所に広がるかどうかが気になるところだが、中国メディア、第一財経は、上海金融当局がほかの取引所にも業務停止を示唆する口頭命令をだしたと報じている。
さらには仮想通貨取引所だけではなく、P2Pやブロックチェーン技術を基盤とする取引所にも、当局の手が伸びる可能性も否定できない。
中国の強制的な取り締まりが、他国に及ぼす影響も注目されるところだ。
ビットコインは特定の地域や犯罪者向き?
ダイモンCEOは仮想通貨が400ドル前後で取り引きされていた2014年にも、「仮想通貨など政府に潰されて生き延びれない」と発言している(Finextraより)。
特に殺人など深刻な問題が起こった場合、各国の当局が監督もなしで仮想通貨の流通を黙認するとは考えにくいとの見解だ。
将来的な可能性として、仮想通貨の基盤となるブロックチェーン技術自体の有益性は認めているものの、金融機関での応用については「まだ分からない」と答えている。
またベネズエラやエクアドル、北朝鮮といった地域の住民や、麻薬密売人や殺人者などの類ならば、「米ドルよりもビットコインを利用する方が利益を得れる」と述べる一方で、自分の娘もビットコインを購入していることを明かした。
ダイモンCEOのような金融産業の大物が、仮想通貨を真っ向から100%否定し、さらには解雇を盾に従業員にまで「反ビットコイン」を通告した事実に、驚きの声も挙がっている。
米国のダブルライン・キャピタルの共同設立者兼チーフインベストメント・オフィサー、ジェフリー・ガンロック氏は、ダイモンCEOのコメントを「大胆」と批評。自身は「ビットコインについて特に思うこともない」と冷静に構えており、「年を取り過ぎたのかも知れないが、手をだすつもりはない」と語った。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)
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