損害保険は1年更新である

よって、保険会社が消費税率上昇分を契約者に転嫁しようとすると、新たに締結する保険契約について保険料を値上げするしかありません。それが、保険会社の収入のほとんどを占めるものですから。

さて、保険料と値上げの関係を知るうえで、大事になる要素が「契約期間」です。

生命保険であれば、最低10年ぐらいはお付き合いするような契約になっていると思います。終身という場合もありますね。次の更新が今年中というのであれば別ですが、数年先なら、数年先まで保険料は変わらないでしょう。

が、損害保険の契約期間は原則として1年です。自動車保険や住宅の火災保険の更新のお知らせは毎年届きますよね。つまり、毎年新規に契約を締結しているのです。

そうです。4月以降に更新する、あるいは新たに加入する損害保険契約は消費税率上昇前と全く同じ補償内容にしようとすると、恐らく値上がりしていることが見込まれます。保険料を上げないのであれば、従業員の人件費を3%ダウンさせるとかしない限り、保険会社の収支は悪化します。それをよしとする経営者はいないでしょうから、新規契約の保険料は上昇すると考えるのが自然なのです。

損害保険と言えば自動車保険という方も多いかもしれませんが、次回更新時には火災保険の保険料も値上げされる可能性が高いです。消費税率上昇の転嫁だけではなく、台風や集中豪雨による自然災害で、損害保険会社の支払い負担が増えていることも背景にあるようです。

損害保険のことばかりに触れましたが、生命保険会社も消費税率上昇後のコスト増に伴い、今後は新規に結ぶ契約について保険料が上昇する可能性があると思っていた方がよいでしょう。


保険会社のお世話にならないことを心掛けたい

コールセンターなどを使ったダイレクト型損害保険会社など、ビジネスモデルが多様化している損害保険業界ですが、読者の中には日ごろのお付き合いがある代理店などで加入している方も多いと思います。結果的に、保険会社を選べないというケースもあるかもしれませんね。それはそれで仕方がないと思います。

大事なことは、可能な限り保険会社のお世話にならないようにすることだと思います。事故を起こさなければ、自動車保険料が急激に値上げされるということもないわけです。自然災害を避けるのは難しいですが、日ごろから安全運転を心がけるといった、危機を回避する心がけが求められているようにも思います。全体の損害が減れば、保険会社の負担も減りますから、保険料の値上がりを抑制できるのです。

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