生命保険の活用とメリット・デメリット

生命保険の中でも特に相続対策には有効なのが終身保険です。何歳で亡くなっても保険金を必ず受け取れ、「みなし相続財産」として遺産に合算されます。保険料の一例を挙げておきましょう。

A社の終身保険で50歳男性、死亡保険金5,000万円、払込期間20年だと年間210万円ほどです。20年払いきっても約4,200万円です。

この終身保険には大きく分けて4つのメリットがあるので以下にまとめます。

メリット①

よほど高齢になってからの加入でない限り、「払込保険料総額<死亡保険金」の設定で契約することが出来ます。この差額が大きいほど、相続税対策の効果が大きいというわけです。もちろん払いきる前に早期で亡くなってしまえばそれだけ差額が大きくなりますので、テーマの性質上損得では考えたくないですが、結果的に得になります。

メリット②

「法定相続人×500万円」が非課税。法定相続人が4人いれば2,000万円が非課税になるわけです。これを廃止しようという動きもありましたが、今のところ有効です。

メリット③

加入時に受取人を指定することが出来る。誰に、いくら、渡したいのかを先に決めておけるのは意外に大きな魅力です。我々はよく「お金に名前をつける」という言い方をします。保険契約が終了するまでは、何度でも変更可能です。

メリット④

相続税支払いの財源を現金として準備出来る。相続財産には土地や建物などのように現金以外のものも多くあり、それらを相続した場合も現金で納税することになります。物納という方法もあるのですが、土地や建物を国に渡してしまうのは困るという人の方が多いでしょう。そんなケースに保険金という現金は非常に役に立つわけです。

逆にデメリットとしてはどうでしょう。大きくわけて2つ考えられます。

デメリット①

現金の準備が必要。保険契約も納税と同じく現金の準備が必要で、また毎月、毎年途切れることなく保険料を支払わなければいけません。払込期間が長ければ月々の負担を少なく出来るので、若くから保険契約を始めるのもひとつの方法だと言えます。

デメリット②

健康な人しか加入出来ない。生命保険なのでこのハードルを越えなければなりません。①と同じく、若くて健康なうちから対策を始めるのが吉ですね。

4つのメリット、2つのデメリットを見ていただきましたがいかがでしたか?


まとめ

本稿では終身保険を活用した相続税対策をお話ししましたが、ほかにもいろんな方法があります。生前贈与により財産を移したり、養子縁組により法定相続人数を増やしたりとさまざまです。それについてはまたの機会に述べるとしましょう。

大切なのは、財産の多寡や種類、家族構成、年齢など、ご自身をとりまく環境と照らし合わせて、最適な方法を選ぶことです。またそれを相談出来る、信頼のおけるパートナーにめぐり逢うことです。

いつかは訪れる相続の問題、家族全員笑顔で乗り越えられるといいですね。