日経平均株価と先物に価格差が発生する場合

株式市場の動向を表す代表的な用語「日経平均株価」を毎日テレビのニュースなどで耳にしたことがある人は多いはずだ。株式投資を始めてみると、日経平均株価の他に「日経225先物」という用語を聞くことも多い。

日経平均株価は、日本の株式市場を表す代表的な株価指数のことである。東証一部に上場している企業の中から、セクター間のバランスに考慮して日本経済新聞社が日本を代表する企業225銘柄を選んでいる。一年に1回、定期的に見直しを行っているため、修正平均した数値である。

日経225先物は株価指数そのものではなく、日経平均株価の値動きに連動して価格が変化する金融商品である。大阪取引所に上場している他、シカゴやシンガポールにも上場している。

現物株式投資では10万円の株式を購入する場合、10万円の資金が必要になるが、日経225先物は証拠金取引と呼ばれる取引方法で売買される。証拠金と呼ばれる担保を差し入れることで、手持ち資金以上の取引を行うことができる(レバレッジ取引)。株式投資の信用取引が証拠金の3倍までレバレッジがかけられるのに対して、日経225先物取引は証拠金に対して数十倍の取引を行うことができる。

取引できる期間が決められており、満期月が存在する。この満期を迎える月のことを「限月」と言い、日経225先物の場合、限月は3月、6月、9月、12月のうち、13の限月が取引される。

各限月の満期日である第2金曜日の前営業日が取引最終日で、満期日のことを「SQ(エスキュー)」と言う。報道などで「メジャーSQが~」という言葉を聞く機会もあるので、覚えておいて損はないだろう。

日経平均株価は株式指数の一種であるが、日経平均先物は、日経平均株価という指数を売買する金融商品の一種である。本来であれば、日経平均株価を指数として取引するのが日経225先物なわけだから、日経平均株価と日経225先物の価格にほとんど差が発生しないはずだ。しかし、日経平均株価と日経225先物の価格に、時々差が生じることがある。

例えば、日経平均株価に採用されている225社の中に、9月末に中間配当を支払うことを予定している企業があるとしよう。その場合、権利確定日の翌日に配当落ちをして株価は値下がりする計算になるため、日経平均株価は配当落ちした分だけ価格が下がる計算になる。

しかし、日経225先物は証拠金取引であるため配当金がない。そのため、日経平均株価の配当落ち分を見込んで、日経225歳物価格は値下がりした価格になってしまうわけだ。権利落ちしてしまえば、日経225先物価格あたりまで日経平均株価が値下がりしてくることで、結局は同じような価格に落ち着く。

配当落ちすれば、株価は安くなる。株式市場が上昇基調で地合いが強ければ、配当落ちで下落した分よりも上昇する場合もある。しかし、地合いが弱ければ、配当落ちした以上に下落する場合もある。配当落ちを埋めるのか埋めないのかで、今後の株式市場の動向に影響を及ぼす場合もある。その動向には注目しておいて損はないだろう。

横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。WAFP関東理事。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、メルマガ発行( http://yokoyamarika.com/9zu1 )、講演活動、株塾を行う。