医療技術の進歩によって、さまざまな病気の治療が可能になってきました。治療方法の選択肢が広がり治癒の可能性が高まったのは良いことです。しかし通常の健康保険が適用されないため全額自己負担になり、かなり高額になる治療もあります。
そこで登場してきたのが先進医療特約です。それでは先進医療と先進医療特約とはどういうものなのかを見ていきたいと思います。
先進医療とは
よくある間違いに健康保険がきかない自由診療のすべてが先進医療だと思っている場合があります。しかしそうではなく、先進医療とは厚生労働大臣が認可し特定の病院や医療施設で行われる治療のことです。いくら最新で高度な技術の治療でも厚生労働省で定めていないものは先進医療には含まれません。
こういう定義もできます。「先進医療とは保険適用の対象になっていないものの、保険適用できるかを評価するため厚生労働省が保険診療との併用を限定的に認めた医療行為」である。つまり現在は保険がきかない治療でも、その治療の症例数が増え有効性や必要性が評価されると保険が適用されるかもしれません。
上記の「保険診療との併用を認めた医療行為」について少し解説しますと以下のようなケースです。先進医療だからと言って病気の治療のすべてに先進医療を使うわけではありません。当然、健康保険が適用できる部分もあります。
◎総医療費が100万円、うち先進医療にかかる費用が20万円のケース
・先進医療の20万円は患者が全額負担
・通常の治療と共通する部分が保険として給付されるので患者の負担は3割の24万円
・合計44万円を患者が負担
平成22年度の実績ですが先進医療の種類は100ぐらいあります。以下は費用の高い上位10の治療です。(平均の治療費と年間の利用者数)
・重粒子線治療…約298万円(729人)
・陽子線治療…約278万円(1,225人)
・インプラント義歯…約54万円(293人)
・多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術…約52万円(2,159人)
・経皮的肺がんラジオ波焼灼療法 原発性又は転移性肺ガン…約19万円(211人)
・経皮的骨形成術 有痛性悪性骨腫瘍…約16万円(831人)
・内視鏡的大腸粘膜下層剥離術…約14万円(227人)
・下肢静脈瘤血管内レーザー治療法 一次性下肢静脈瘤…約13万円(323人)
・光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助…約1万円(374人)
・その他…約21万円(3,041人)
重粒子線治療と陽子線治療が突出して高額ですが他は以外と安く1万円台もあります。
また先進医療を実施している医療機関は特定承認保険医療機関といいますが500施設ぐらいあります。必ずしも都心や交通の便が良い所ばかりではありません。
先進医療特約とは
先進医療特約は主契約の特約につけるもので単独の先進医療保険にはなっていません。 保険料100円/月ぐらいで数百万円から1千万円ぐらいまで保障してくれます。
また先進医療は受けられる医療機関が限られているため交通費や宿泊費まで支給対象に含まれているタイプや交通費・宿泊費などに充てられるよう5万円あるいは10万円の一時金を支払うタイプもあります。
これだけ見ると素晴らしい保険のように思えますが課題もあります。