高度障害とは

生命保険を契約する時に「気になる言葉」があります。まずは「保険金」「保険料」は良いとして、いまいち理解されにくいのが「高度障害」です。言葉通りに解釈すれば「重度の障害を負った状態」ですが、実際の高度障害とはどういう状態を指すのでしょうか?

まず、前提として生命保険会社は金融庁が認可した商品を扱うということです。そして「社団法人生命保険協会」で決めている一定のルールがきっちりと守られており、その上で保険事故(つまり保険金を支払う事例)を扱います。

そのため、一般社会でいう障害という言葉と保険会社の「高度障害」状態とは認識に「ずれ」が存在します。介護状態で、ベッドから起き上がるのもやっとなのだから、高度障害保険金が出るのでは?と思っていても、あくまで保険会社が決めている「高度障害」にならなければ高度障害保険金は認められません。

障害と高度障害の違いとは

保険に加入する際「告知」という手続きを経験した方はかなりいると思います。保険会社の外交員から「過去の病歴」や「入院歴」などを質問される場合や、指定された病院で問診を受ける場合、あるいは検査を受ける場合など、さまざまなケースがあります。

このときに告知した「障害」でも、追加手続きなしでできるケースがあるとします。本人にとっては障害ですが、保険会社にとっては健康な加入者と同等、ということで障害とはみなしません。

つまり、保険会社でいう障害とは「保険事故」のリスクが高い人、あるいは障害を指します。 障害と高度障害の違いは「自分の意志でどの程度体を動かせるか」「意思疎通ができるか」がポイントであり、本人の意思が周囲に伝わらない、伝えられない状態が高度障害となります。

「高度障害」の定義とは

保険の世界では、高度障害の定義がこう決められています。

1、両眼の視力を完全に、永久に失うこと

2、言語またはそしゃくの機能を完全に、永久に失うこと

3、中枢神経系、精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要する状態

4、両上肢とも手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失うこと

5、両下肢とも足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失うこと

6、1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失うこと

7、1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失うこと

(抜粋、社団法人生命保険協会公式サイトより)

詳細に記してみますと、

1の「両眼の視力」は、両眼が0.02以下になり、回復の見込みがない場合を指します。つまり、視力がないことではなく、視力を失う事で引き起こされるであろう「保険事故」のリスクの高さからみて、死亡保険金同等を支払う、という意味です。

2の言語または、そしゃくの機能を失う、とは「言葉を発することができない」ことで引き起こされるかもしれない「保険事故」のリスクをいい、そしゃく機能を失うとは「胃ろう」「腸ろう」といった経管栄養(胃や腸に簡易的な口を付けて栄養を流し込むこと)の状態を持つ人の「保険事故」のリスクの高さをいいます。

つまり、高度障害の定義とは「障害の状態」が重いか軽いかというのではなく、障害特有の状態がどの程度の「保険事故」リスクを抱えるだろうか?を検討して、決められているのです。