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変額個人年金をさらっとおさらい

変額個人年金を一言でいえば、「保険の顔を持った投資信託」です。

加入者が生命保険会社に払い込んだ保険料を、投資信託等で構成される「特別勘定」で運用し、運用期間終了後の運用結果(積立金という)が年金原資になります。投資信託等の運用結果が反映されますので、年金原資は払い込んだ保険料以下になることもあります(*1)。

変額個人年金は生命保険ですので、被保険者(多くの場合は加入した人だと思います)が死亡した場合は死亡保障があります。死亡保障は払い込んだ保険料額が保証され、死亡時の積立金が払い込んだ保険以上の値になっていれば積立金が死亡保障保険金となります。つまり、払い込んだ保険料以上の金額を遺族に残すことができる生命保険商品なのです。

(*1)年金原資を保証する変額個人年金商品が販売されていたこともありました。


変額個人年金が流行ったわけ

2000年代の初頭にこの保険商品が流行ったのにはそれなりの理由があったと思います。

(1)    銀行窓販の解禁
当時、銀行は貸出以外の収益源を模索していました。規制緩和により、1990年代の後半に投資信託の取り扱いが始まったことをきっかけに、手数料ビジネスに力を入れるようになっていたのです。

そんな中2002年10月に銀行が一部の保険商品の取り扱いをできるようになった銀行窓販が始まり、変額個人年金は解禁された商品の一つで、販売する銀行側も当初力を入れていました。

(2)    満期を迎えた定期預金の受け皿になった
当時すでに低金利でしたから、定期預金を継続するより、払い込み保険料が死亡保険金として保障されるという「死亡時元本保証」を選ぶ個人客が多かったのだと思います。

(3)    定年退職者が増え始め、退職金の運用先として選ばれた
まとまった額の退職金にさしあたり使い道がない場合、運用して将来の年金原資にするため選択した方も多かったかもしれません。
筆者の推測も入っていますが、変額個人年金はその商品の特徴が10年ぐらい前の日本の状況にフィットしていたのでしょう。また、1990年代末期から2000年にかけてのITバブルで個人投資家が増え、「投資」や「運用」という言葉に抵抗が少なくなってきていたことも流行を後押ししていたと思います。