変額個人年金の長所と短所
どんなものにも長所と短所があります。
変額個人年金の長所としては、先ほど挙げた「死亡時元本保証」のほかに、遺族が保険金を受け取った場合、相続税の非課税枠を使えるとか、払い込み保険料は生命保険料控除の対象になるなど税制面での有利さと、多くの商品が職業告知だけで健康状態を問わないため、加入しやすい生命保険であることが挙げられます。
一方短所としては、年金原資の保証がないことのほかに運用期間中のコストの高さが挙げられます。
投資信託を保有していると信託報酬というコストが必要になることをご存知の方が多いかもしれませんが、「保険の顔を持った投資信託」の変額個人年金の場合、さらに保険関係費用というものを負担しなければならず、2つのコストを合わせると年間3%を超えるケースが珍しくありません。10年で30%がコストなわけですから、決して安いとは言えないでしょう。運用が好調でも、その好調さを全部享受できないのです。
また、加入から一定期間の間に解約した場合、解約控除という費用を負担する必要があります。生命保険会社も商売です。変額個人年金は長期間運用していただくのが前提で(運用期間中、生命保険会社は保険関係費用を加入者から頂きます)保険商品を設計しているので、早期の解約をされると都合が悪いので、ペナルティを課しているのです。
加入した目的と現状確認をしましょう
さて、加入している方は保険証券と一番最近生命保険会社から届いた四半期報告書などを用意してください。
あらためて、変額個人年金になぜ加入したのかを思い出してください。加入目的が、資産の相続対策であるならば、これより後の記述は流し読みしてくださってもかまいません。死亡保険金受取人に間違いがないか、変更する必要がないか、住所変更等しなくていいかなどを改めて確認してくださいね。
加入目的が年金資金作りか、実は特に目的もなく当時の「流行に乗って」加入した方は、次の点を確認してください。
1) 加入から何年経過しているか? 解約を考慮した時に解約控除があるのかないのかは加入からの経過年数による場合がほとんどです。
2) 積立金はいくらか? マーケット状況によって積立金は変化します。
3) 年金はいつから受け取れるのか? 保険証券に書いてあります。
以上3点に不明なものがあるか、保険証券を読んでもわからない場合は、生命保険会社のコールセンター等に連絡して、確認してください。
加入目的が相続対策でなければ、その運用コストを考慮すると資金の運用方法として変額個人年金がふさわしくない場合もあります。解約しても解約控除はすでに不要で、解約返戻金が払い込み保険料を上回っていて(昨今の株高でこのような方は少なくないと思います)、年金受給までにまだ数年はあるというケースであれば、解約を考慮してもいいかもしれません。
この商品の長所の一つである生命保険料控除は保険料を払い込んだ年で完結していますし、解約して別の金融商品で運用した方が低コストで済む場合が多いからです。生命保険は加入すると、つい放置しがちです。この機会に他の保険も含めて確認しておいてはいかがでしょうか。