株式市場の中でも地味で目立たない市場、それが東証二部だ。たしかに信用力が高く多くのファンドに組み入れられる東証一部や成長性の高い企業が集まるマザーズに比べて注目度合いは低いといえるだろう。目立たない市場であるがゆえに投資家からの資金が集まりにくいという特徴もある。
しかし、投資妙味の観点でいえば別の話だ。過去の傾向を見ると長期的に見れば旨味のある投資先として候補に入れておきたい。中には驚くような値動きをしていて「テンバガー」を達成している企業が存在するのだ。今回の記事では過去の傾向に触れながら東証二部銘柄への投資妙味を紹介したい。
一般的に目立たない地味な業種が多い
東証二部へと上昇した企業は2017年には8銘柄、2016年には5銘柄、2015年には9銘柄と上場した企業の中では決して数は多くない。やはり上場時に投資家から資金を効率的に集めるためにはマザースや東証一部市場が近道であるため当然といえば当然だ。
それゆえに東証二部に上場する業種には悪く言えば目立たない、よく言えばいぶし銀な業種が多い。一般的にはメーカーや小売り、化学、不動産、サービスなどであり、いわゆる成長著しいネット関連企業とは、将来的な成長性の度合いが異なる企業が多いのが特徴だ。
そのような業種は将来的な利益の伸びも高くはないと一般的には思われているため、東証二部に上場した銘柄の多くは初値で株価がそれほど上昇はしない傾向がある。時には初値が上場前の公募を下回る公募割れという残念な結果になることもある。ただ、上場後の株価推移をみると、ひっそりと時間をかけて株価を上昇させている企業が多いのだ。
マザーズのような派手さはないものの長期投資妙味がありそう
初値はあまり期待できない東証二部銘柄だが、その後の値動きを追ってみると大化けしている企業が幾つか存在していることがわかる。一例を挙げてみよう。(現在株価は2018年10月23日終値)
【2014年上場】
(1)丸和運輸機関 <9090>
初値 387.50→現在株価 3575(約9.23倍)
(2)ヤマシンフィルタ <6240>
初値 111.60→現在株価 725(約6.49倍)
※2017年11月(株価1375)にテンバガーを達成している
【2015年上場】
(3)ケイアイスター不動産 <3465>
初値 641.00→現在株価 2055(約3.2倍)
(4)ラクトジャパン <3139>
初値1400.00→現在株価 7190(約5.14倍)
【2016年上場】
(5)ジャパンミート <3539>
初値1040.00→現在株価 2006(約1.92倍)
(6)中本パックス <7811>
初値740.00→現在株価 1839(約2.49倍)
(上記株価の初値は株式分割を行った後の調整株価であり、実際ついた初値とは異なる点に注意)
ざっと見ても上記の銘柄は時間をかけて投資家から相当な資金を集めていることがわかる。初値が振るわない割に、その後の上昇率が高いことが見て取れる。中には初値が公募価格を割れてしまっていた銘柄もあり、上場後の上値余地が東証二部上場銘柄には多いということがわかる。
上場してからそれほど値上がりしていない2017年8銘柄や2018年に上場した二部銘柄も、数年後には思わぬ株価になっている可能性も十分あるのだ。ちなみに上記6銘柄すべてにおいて東証二部から東証一部へとくら替えを行っている。