株式市場の中でも地味で目立たない市場、それが東証二部だ。たしかに信用力が高く多くのファンドに組み入れられる東証一部や成長性の高い企業が集まるマザーズに比べて注目度合いは低いといえるだろう。目立たない市場であるがゆえに投資家からの資金が集まりにくいという特徴もある。

しかし、投資妙味の観点でいえば別の話だ。過去の傾向を見ると長期的に見れば旨味のある投資先として候補に入れておきたい。中には驚くような値動きをしている企業が存在するのだ。ここでは過去の傾向に触れながら東証二部銘柄への投資妙味をご紹介したい。

一般的に目立たない地味な業種が多い

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(画像=photo.ua / Shutterstock.com)

東証二部へと上昇した企業は2017年には8銘柄、2016年には5銘柄、2015年には9銘柄と上場した企業の中では決して数は多くない。やはり上場時に投資家から資金を効率的に集めるためにはマザースや東証一部市場が近道であるため当然といえば当然だ。

それゆえに東証二部に上場する業種には悪く言えば目立たない、よく言えばいぶし銀な業種が多い。一般的にはメーカーや小売り、化学、不動産、サービスなどであり、いわゆる成長著しいネット関連企業とは将来的な成長性の度合いが異なる企業が多いのが特長だ。

そのような業種は将来的な利益の伸びも高くはないと一般的には思われているため、東証二部に上場した銘柄の多くは初値で株価がそれほど上昇はしない傾向がある。時には初値が上場前の公募を下回る公募割れという残念な結果になる事もある。ただ、上場後の株価推移をみるとひっそりと時間をかけて株価を上昇させている企業が多いのだ。

マザーズのような派手さはないものの長期投資妙味がありそう

初値はあまり期待できない東証二部銘柄。しかし、その後の値動きを追ってみると大化けしている企業が幾つか存在している事がわかる。一例を挙げてみよう。(現在株価は2018年2月26日終値)

【2014年上場】

(1)丸和運輸機関 <9090>
初値 387.50→現在株価 3790(約9.78倍)

(2)ヤマシンフィルタ <6240>
初値 111.60→現在株価 1328(約11.8倍)

【2015年上場】

(3)ケイアイスター不動産 <3465>
初値 641.00→現在株価2836(約4.42倍)

(4)ラクトジャパン <3139>
初値1400.00→現在株価3835(約2.73倍)

【2016年上場】

(5)いわきポンプ <6237>
初値2050.00→現在株価4235(約2.06倍)

(6)中本パックス <7811>
初値740.00→現在株価2301(約3.1倍)

(上記株価の初値は株式分割を行った後の調整株価であり実際ついた初値とは異なる点に注意)

ざっと見ても上記の銘柄は時間をかけて投資家からの相当な資金を集めている事がわかる。初値が振るわない割にその後の上昇率が高いことが見て取れる。中には初値が公募価格を割れてしまっていた銘柄もあり、上場後の上値余地が東証二部上場銘柄には多いということがわかる。

上場してからそれほど値上がりしていない2017年8銘柄や今年上場を予定する二部銘柄も、数年後には思わぬ株価になっている可能性も十分あるのだ。ちなみに上記6銘柄のうちすでに5銘柄は東証二部から東証一部へとくら替えを行っている。

「東証一部への布石」の見極めポイント 分売、優待……

2016年の5銘柄中3銘柄、2015年の9銘柄中7銘柄がすでに市場を二部から一部へと変えている。一部指定が決まるとファンドの組み入れにともなう買い注文なども期待されるので株価が上昇しやすくなる。

上場後1〜2年程度で市場変更がある可能性を考えると、二部へと上場したばかりの企業を狙い撃ちするのも一つの投資法として可能性がありそうだ。ちなみに東証一部へと指定替えが認められるには、株主の数や時価総額、株式数などが関わってくるので企業側も積極的に対策を打つ場合が多い。

その対策とは、株式市場へと株価をやや安い価格で放出する『立会外分売』と個人の株主を増やすための『株主優待の新設』である。立会外分売の場合、申し込み株数に上限があったりと株主の数を増やすための施策として一定の効果がある。

東証二部へと上場後、立会外分売や優待の新設など行う企業は東証一部への思惑があるのではないかと考えて先回りして株を仕込んでおくのも良いだろう。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。著書に「超優待投資・草食編」がある