2017年も早いもので残り1ヶ月を切った。日経平均は96年6月のバブル崩壊後の戻り高値を更新し、92年以来25年ぶりの高値を更新し、株式相場は大活況だったといえるだろう。ここでは、17年の「値上がり・オブ・ザ・イヤー2017」を振り返ってみよう。(年初から2017年12月7日終値でのパフォーマンスを記載)

「値上がり・オブ・ザ・イヤー2017」

テンバガー,2017年
(画像=PIXTA ※画像はイメージです)

今年の代表銘柄ともいえる年間値上がり率上位10位が以下のランキングだ。ちなみに、年初から12月7日終値時点で10倍を超えている銘柄はない。

順位/銘柄 <コード> /市場/年間上昇率

1.ペッパーフード <3053> /東証1部/9.63倍
2.北の達人 <2930> /東証1部/8.65倍
3.アイケイ <2722> /JQ/7.85倍
4.サイバーステップ <3810> /東証2部/7.31倍
5.大興電子通信 <8023> /東証2部/6.81倍
6.五洋インテックス <7519> /JQ/6.40倍
7.グレイステクノロジー <6541> /マザーズ/5.44倍
8.夢展望 <3185> /マザーズ/5.44倍
9.ヤマシンフィルタ <6240> /東証1部/5.41倍
10.RIZAP <2928> /札幌/5.23倍

17年概観①:IT関連、ゲーム関連より「消費関連」が強かった

17年の値上がりランキングの傾向として、15年や16年に活躍したIT関連銘柄、ゲーム関連、バイオ関連銘柄に代わり、消費関連銘柄が増えたことがあげられる。

たとえば16年の活躍した銘柄は、年間ランキング上位では、フライト<3753> 、イグニス<3689> 、安川情報システム<2354> 、テンバガーではブランジスタ<6176> 、さくらインター<3778> 、ドーン<2303> など、IT系、ゲームが目立っていた。

今年トップのペッパーフードは、「いきなりステーキ」のヒットで既存店売り上げが20%を超えるようになり、東証2部から東証1部指定替え、海外出店などの好材料が重なり人気化した。ペッパーフード人気が、串カツ田中<3542>など居酒屋人気にも拍車をかけた可能性がある。

北の達人は、健康食品「カイテキオリゴ」や化粧品で好調な業績で人気化した。ランキングには入らなかったが美顔器のヤーマン<6630>も18位で3.7倍となっており、健康食品、健康機器はインバウンド需要の再拡大もあって好業績で買いを集めた。

RIZAPはダイエットなどで業績を急拡大しているが、M&Aでも積極展開をはじめた。夢展望はRIZAPグループのカジュアルウェア通販だが同グループのEC拡大へのプラットフォーム業務委託で人気化した。ジーンズメイト<7448>もランキング圏外の12位だが4.6倍。RIZAPグループがTOBで子会社化したことで人気化した。

アイケイもカタログ通販、好業績と中国進出のポテンシャルで買われた。五洋インテックスもカーテンなど住宅資材の販売がメインで赤字体質からの脱却で、低位株から株価が急騰した。

いわゆる17年のスター株には、IT系は北興電子通信、ゲーム系はサイバーステップのみ。ヤマシンフィルタは建機関連、グレイスは産業機器のオンラインマニュアル作成など、設備投資関連のニッチな市場で好業績を続ける会社だった。

17年概観②:マザーズよりも東証銘柄が強かった

今まで成長株と言えば圧倒的に新興市場銘柄が多かった。特に、15年〜16年はマザーズ市場が脚光を浴びた。16年は東証2部にも見直し買いが入った。今年は、今年は市場変更した銘柄もあるがランキングの半分を東証が占めており、それも東証1部が3銘柄もある。15年〜16年にはなかった傾向だ。

要因としては、マザーズ銘柄を取引している中心が個人投資家で長期ホルダーが少ないことが考えられる。特に今年は日経平均採用銘柄などの大型株が活躍したため、マザーズ参加していた個人の資金が大型株にシフトし、マザーズ指数は6月高値を抜けないでいる。 動きの鈍い市場に資金は集まりにくい。

また、16年7月に始まったマザーズ先物が現指数と逆乖離になることが多く、マザーズ銘柄の主力銘柄にはマザーズ先物との裁定取引をしていると思われる売り残が積み上がっていることがあげられるだろう。マザーズの貸借銘柄の信用売り残の多さが目立っており上値を押さえた可能性が高いだろう。

「年初安値から年初来高値」でテンバガーを達成した9銘柄

1年を通したパフォーマンスでのテンバガー銘柄はなかったが、年初来安値から年初来高値までの上昇率ではテンバガーを達成した銘柄が9銘柄ある。

順位/銘柄<コード>/市場/安高上昇率

1.サイバーステップ<3810>/東証2部/21.4倍
2.ペッパーフード<3053>/東証1部/14.1倍
3.アイケイ<2722>/JQ/13.8倍
4.リミックスポイント<3825>/JQ/12.6倍
5.五洋インテックス<7519>/JQ/12.2倍
6.夢展望<3185>/マザーズ/11.3倍
7.ASJ<2351>/マザーズ/11.0倍
8.大興電子通信<8023>/東証2部/10.2倍
9.北の達人<2930>/東証1部/10.1倍

上位は年間パフォーマンス上位と被っている

ほとんど上位は年間パフォーマンス上位と被っている。 サイバーステップは1月10日の373円から6月高値の7980円までなんと21倍になった。PCオンラインゲームの会社だが、業績の黒字転換、上方修正がきっかけで人気化した。

ペッパーフードは年間では惜しくも10倍にはなっていないが、2月の583円安値から10月高値8230円まで14倍になった。 今年を代表する銘柄と言ってもいいだろう。年間のトップランキングに入っていないテンバガー銘柄は、リミックスポイント<3825>とASJ<2351>だ。

リミックスポイントは子会社で仮想通貨の取引所をやっており業績の上方修正もあって人気化。年初の安値144円から6月高値には1820円まで急騰した。個人にも大変人気がある株だったが、中国が仮想通貨を規制したことで下落始め株価は約1/3まで下げている。

ASJはIT系でサーバー関連。業績の上方修正で人気化したがその後の下方修正もあって株価は低迷中だ。 今年もテンバガーが9銘柄も生まれた。

平田和生(ひらたかずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。