(本記事は、ピョートル・フェリークス・グジバチ氏の著書『Google流 疲れない働き方』SBクリエイティブ、2018年3月16日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

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Google流 疲れない働き方
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

認知心理学で、感情をマネジメントする

感情は、あなたのパフォーマンスに影響を与えます。認知心理学の研究結果は感情について様々な知見を与えてくれるようになりましたが、特に重要なのは「感情と反応を切り離す」ということ。普段からこのトレーニングを意識的に行なえば、仕事に限らず日常生活でも大きなメリットが得られます。

たとえば、職場で誰かに「まだできないの?」とか「何でできないの?」と言われたとします。当然、誰でも腹が立ちますよね。人によっては、キレて周囲に当たり散らす人もいるでしょうし、そこまでいかなくてもむっつり黙ってしまうことはあると思います。

原因となった人を無視したり、その人からの依頼をいい加減に扱ったりすることを「パッシブアグレッシブ」といい、往々にして仕事をする上での支障となります。

認知心理学では、こういう場合の振る舞い方について教えています。

・まず、自分が言われたことをきちんと認識する
・イラっとしたりムカッときたりしたら、まずは深呼吸する
・そして、どんな建設的な反応をとればいいかを論理的に考えてから、反論するようにする

この3段階を踏むように心がけましょう。

たとえば、イラッとするメールを受け取ることはあると思いますが、その場合も即座に返信してはいけません。少し時間をおいて、心に余裕がある時に見直して返信してください。時間をおいて見直すだけで、同じメールの内容でも違う角度から受け取ることができるでしょう。

もう一つのトレーニングは、今自分が感じている感情を認識するというもの。

誰にでも調子がいい時と悪い時があります。特に疲れていたり、寝不足だったりすると、ネガティブな感情も発生しやすくなります。

そういう感情をきちんと認識し、適した行動をとるようにするのです。

たとえば、自分がいらだっていると認識したら、その日は難しい交渉事を避けるのがよいでしょう。場合によっては、スケジュールを変更したほうがよいかもしれません。

普段から周囲と良好な人間関係を築けているのであれば、自分の状態を伝えるようにしましょう。

「今日は疲れているから、うまく話ができないかもしれません。すみません。もしよければ、明日にしてもらえますか」「今日は調子が悪いので一人で作業しますが、あなたのせいではありません」などとあらかじめ言っておけば、無用なトラブルを避けられます。職場の人や家族も、あなたの状態がわかっていれば、余計な心配をせずにすみます。

あまりに感情が不安定なようであれば、会社を休んでもいいでしょう。

「熱が出たり、頭痛・腹痛なら会社を休むのもわかるけど、イライラしているくらいで休むのはいけないのでは......?」

そう思われるかもしれません。

けれど、よく考えてみれば、体調が悪くても感情の状態が悪くても、「パフォーマンスが上がらない」のは一緒です。

風邪やインフルエンザと違って感染はしませんが、イライラしていると周囲にも悪影響を及ぼすことだってあります。

一方で疲れをとることで、感情が元に戻ってくることもあります。それならば思い切って休んだほうが、会社とあなた双方のためではないでしょうか?

「時給」ではなく「年収」で考える

Google流 疲れない働き方
(画像=Olena Yakobchuk/shutterstock.com)

グーグルの社員は「休み」も仕事にとって大事なことと考えています。

ゲームをしてだらけているように見えるプログラマーも、ただ遊んでいるのではなくて、後でできるだけ大きな成果を出すために、休憩を取っています。

日本で働いている人で、こういうメンタリティーを持っている方は、多くないように思います。

おそらく原因の一つは、自分の仕事を時給換算しているからでしょう。あなたは、自分の給料を勤務時間で割って、「時間当たりいくら」と計算したりしていませんか?

たとえば、月給24万円の人が、1か月20日間、1日7時間仕事をしたら、「1時間で1700円分の仕事をしなければと」と、ついそう考えてしまうのです。

でも、時給で働くということは、勤務時間中はずっと拘束され、働かされ続けるということです。そんな働き方をしていると、ルーチンをこなすだけになってしまい、新たなことを考える余裕は生まれません。

考えるべきは、「時給」ではなく、「年収」です。つまり、自分の市場価値を高める、ということです。

いつまでも同じ仕事をして同じ時給をもらうのではなく、「年」という単位で考える。昨年よりもよい結果を狙うことで、年収を高めたり、ボーナスを増やすことを考えるべきでしょう。

ピョートル・フェリークス・グジバチ
ポーランド生まれ。2002年よりベルリッツにてグローバルビジネスソリューション部門アジアパシフィック責任者を経て、2006年よりモルガン・スタンレーにてラーニング&ディベロップメントヴァイスプレジデント、2011年よりグーグルにて人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。現在は独立し、プロノイアとモティファイの2社を経営。著書に『0秒リーダーシップ』(すばる舎)、『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』(SBクリエイティブ)。