(本記事は、ピョートル・フェリークス・グジバチ氏の著書『Google流 疲れない働き方』SBクリエイティブ、2018年3月16日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

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Google流 疲れない働き方
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

スプリントとは何か

グーグルの会社員たちは単に昼休みにバレーボールをするのではありません。

大きな仕事を集中して行なうためには、自分を整えることが必要です。そのためにうまく休憩を使って、そのエネルギーを蓄えるわけです。

しかし僕が見るに、日本のビジネスパーソンはどうもマラソン型の働き方をする人が多いようです。平日は同じようなペースで働いて、週末に休む。翌週はまた同じように働いて、週末に休む......。ずっと同じようなペースで走っているイメージです。

こういう働き方は、決まった量のアウトプットが求められる製造業のような仕事では有効ですが、現代のホワイトカラーに適しているとはいえません。

現代のホワイトカラーに求められているのは、集中して、良質なアウトプットを出すことです。

スプリントでメリハリをつける

Google流 疲れない働き方
(画像=Roman Samborskyi/shutterstock.com)

グーグルの仕事の仕方として著名なものに「スプリント」があります。僕も、基本的にスプリントを意識して仕事をしています。

スプリントとは、ずっと仕事を続けるのではなく、ある仕事について集中する時間を決めて作業を行ない、そのあとはしっかり休息をとるという、メリハリのある働き方のことです。

ずっと走り続けるマラソンでは疲れてしまいます。きちんと「何もしない」時間をつくることで、より集中して創造的な仕事をすることができます。

たとえば、グーグルの社員は人によって遅くまで働いていることがありますが、それはこの人が長時間労働の犠牲者だということではありません。

エンジニアなら、ある一定の期間を決めて、その間はそのプロジェクトに集中して働きますが、それが終わったらしっかり休みをとります。

また、どうしても今日は集中したいから午後10時まで働く。その代わり、明日は昼に出社する、あるいは有給休暇を取ってしまう、といった働き方をする人もいます。

そうでないと必要なことに集中できないまま疲れがたまってしまいますし、それでは結果も出せないのです。

僕は、予定を組む際にも、スプリントを意識して予定を入れるようにしています。今の僕のカレンダーはびっしり予定で埋まっていて、毎日コンサルや打ち合わせや講演、ワークショップと様々な仕事が入りますし、出張も多いし、土日も仕事が入っています。こんなスケジュールの時は特に「仕事をする時」と「休む時」の色分けが大事です。

たとえば、仕事が詰まった状態が何週間も続いていたら、ある時期は一切仕事を入れないようにする。このスピードで動くと最大限の結果を出すのは無理だと思ったら、何もしない日を意図的に作る。

こうして、必要な時にしっかり集中できるようバランスをとっているのです。皆さんも「このところ忙しくて消耗しているな」と思ったら、思いきって休むことも効率化への道かもしれません。

休む時はメールを見ない

スプリントで大事なところは、「休む時はきちんと休む」ということです。

でも、日本人は休むのが苦手ですね。土日も仕事だからといって会社に出る方は多いですし、休むこと自体をマイナスに考える方も多いように思います。

しかしそもそも、週末の休みは、単に「月曜から金曜まで働いたから週末休む」というのではなく、次の週間で自分が最大限のパフォーマンスを出すための「休み」でもあるのです。たとえば、土日は、仕事について家でゆっくり大事なことを考えられますし、海や公園に行ったりして気分をリフレッシュすることもできます(ちなみに僕は大事なことは土日に考えるようにしています)。

考え方を変えれば、いくらでも「前向きな休暇」をとることはできるのです。

大切なことは、休暇の時は「メールは見ない」と決めること。

僕はスタッフにも、「メールは見ないので、連絡しても返事はしません。もし緊急の用事があれば電話してください」と言ってあります。

電話は着信履歴が残るので、誰からの電話かを見て判断できますが、メールは中身を見たらつい仕事をしたくなりますし、出すほうとしても気軽です。

メールはすぐに返信しなくてはならないと思っている方も多いので、先に宣言してしまうとよいでしょう。

ピョートル・フェリークス・グジバチ
ポーランド生まれ。2002年よりベルリッツにてグローバルビジネスソリューション部門アジアパシフィック責任者を経て、2006年よりモルガン・スタンレーにてラーニング&ディベロップメントヴァイスプレジデント、2011年よりグーグルにて人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。現在は独立し、プロノイアとモティファイの2社を経営。著書に『0秒リーダーシップ』(すばる舎)、『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』(SBクリエイティブ)。