フェラーリ、ランボルギーニといったスーパーカーを富裕層が所有する率は高い。「なぜそんな車をわざわざ買うのか」と一般人には疑問を持つところかもしれないが、富裕層ならではの理由がある。

理由1:スーパーカー保有はステイタスの証明書

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(画像=Miro Vrlik Photography / Shutterstock.com)

スーパーカーは希少性が高く、お金があるからといって買えるとは限らない。新規購入の場合、買いたい車を即金5000万円で買えるだけの資力があっても、車種によってはディーラー側の購入者審査を通らないと買えないのだ。審査項目は「長年そのブランドを愛用しているか」「飾り物としてではなく、実用していたかどうか」といった内容で、「投機目的」「富の象徴として」の購入ではないかをチェックするブランドもあるようだ。

このようなハードルを乗り超えないと狙いのスーパーカーを買えないという事実は、見方を変えれば「ステイタスがあるからこそ買えるし、乗れる」ということでもある。つまり、オーナーが信用するに足りる人間であることをスーパーカーが証明してくれているのだ。スーパーカーを保有していることで取引先が信用力を認めることになり、結果的にビジネスがうまくいく可能性が高くなる。中古で買う場合は、新車で買う時の購入者審査がないこともあり、運よく出会えたら車だけでなく社会的信用力をも手にすることができる。

理由2:希少性が高く、数年乗っても人気モデルは値段が落ちない

スーパーカーは希少性が高いゆえに、何年か乗ってもそれほど価格が落ちない。5年落ちの場合、大衆車ならば査定価格が新品の20〜30%程度にまで落ちるのに対し、スーパーカーだと50%〜90%程度の評価額や車種によっては値上がりする可能性もある。市場に出回る数がもともと少ないこともさることながら、メンテナンスさえ気をつければ50年後でも性能維持できるという車そのものの耐久性の高さと、ファンとの関係を強固にしていくためのメーカー側の工夫が影響している。

また、スーパーカーは「走る不動産」としての側面もある。1987年にフェラーリが創業40周年を記念して製作したF40は新車価格で5000万円程度だった。一時、3000万円前後にまで下落したものの、昨年は1億円超の価格がついている。モノによっては「お金を失う」のではなく「お金をくれる」ものもあるのだ。

理由3:スーパーカーを社用車にして決算対策

スーパーカーは決算対策として購入されることもある。利益が多く出そうな年に早めに購入して経費計上し、利益が少なくなったら売却して利益を調整するのだ。といっても、スーパーカーの購入価格がそのまま経費計上できるわけではない。キャッシュを伴わない「減価償却」が経費として利益を調整する。

たとえば、決算期末間際になって新規契約先が急増し、次の事業年度では利益が増えそうになったとしよう。このとき、新たな事業年度の最初の月に2000万円のスーパーカーを新車で購入した場合、耐用年数は6年になる。この事業年度での減価償却を差し引く前の利益が1200万円だとするなら、計上する減価償却費、利益は次のようになる。

●定額法の場合

減価償却費:2000万円×0.167=334万円
利益 1200万円-334万円=866万円

●定率法の場合2000万円×0.417=834万円

減価償却費:2000万円×0.333=666万円
利益 1200万円-666万円=534万円

厳密には同じとは言えないが、もし、法人税の課税対象となる利益とこの利益が同じならば、定額法で167万円(資本金1億円以下なら135万円)前後、定率法で101万円(資本金1億円以下なら80万円)前後となる。対策を取らなければ法人税は245万円(資本金1億円以下なら213万円)前後だ。売却は逆のパターン、つまり、例年以上に減益になった、あるいは赤字の事業年度にタイミングをうまく見計らって行えば、過度に税金を出し過ぎることなく決算書の損益状況を改善することができる。

理由4:4年落ちの中古車ならば100%償却OK

さらに節税のメリットが高くなるのは「高級車を中古車として購入した場合」だ。中古車の場合、最短1年で100%償却することができる。なぜかというと、中古車は新車よりも耐用年数が短いからだ。特に、3年10カ月以上経過した車ならば、事業年度の初月に購入すれば、資産計上した金額を全額その事業年度に計上できる。

先ほどの2000万円のスーパーカーを例にとると、これをもし4年落ちの中古として事業年度最初の月に購入した場合、耐用年数は6年から2年に短縮、償却率は定額法でも定率法でも1.0になる。実際の会計では、簿価1円は最低でも残さなくてはならないので正確には100%ではないが、2000万円に近い経費の計上はかなりの利益圧縮につながる。

ただ、こういったスーパーカーを使った節税は、事業年度が始まる前までに黒字になるか赤字になるかなどの予測が必要だ。決算間際になり「今回の事業年度で利益がかなり出そうだ」と思ってスーパーカーを事業用に購入しても、経費計上できるのは、減価償却費として算出したうちの12分の1にすぎない。

さらに、スーパーカーの場合、その趣味性の高さから税務調査の場面で否認される可能性も高い。「あなたのお仕事はスーパーカーで移動する必要性がどれだけあるのですか?」という質問にロジカルに回答できなければ、税務調査の場面で否認される可能性もある。趣味性が高くても社用車としてのみ使用していること、プライベートでは乗っていないことなどの証拠を残しておくなどの注意が必要だ。

富裕層はこのような点を理解した上で、上手にスーパーカーを活用している。つまり、ビジネスとファイナンスの両方でのメリットを検討し、実利につながると判断したからこそ「スーパーカーに価値がある」と認めているのである。(鈴木まゆ子、税理士)