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共済保険という保険を知る

全国には「共済会」と名の付く組合組織が多く存在します。職場単位のものや、地域限定の共済会では組合員が定期的に掛け金を積み立てて「お祝い金」や「お見舞金」として配布します。

こうした相互扶助の仕組み(組合)を全国単位に広げたものが「こくみん共済(全労済)」「県民共済」「生協の共済(coop共済)」です。その他で広域化しているものに「農協の共済(JA共済)」があり、農業関係者以外でも一定割合で、加入することができます。

ここからは、全国規模の共済と一般保険とを比較しながら、特徴を理解していきましょう。(ここでは 共済=共済保険 と記します)


保険と共済の違いとは

一般保険、共済保険とも「生命保険」「損害保険」の両方が存在します。人によってはガン保険は一般保険会社の商品に加入し、自動車保険は共済保険に加入する、というケースがあります。つまり、保険も共済も「自由に加入」できるのが、日本の制度になっています。

一般生命保険会社、一般損害保険会社の場合、法人として営業しています。株式会社や相互会社としているため、株主への「配当」や社員(相互会社の場合は、保険契約者が社員となります)へ「契約者配当」を業績によって行います。

つまり、こうした保険会社は保険料収入をもとに、死亡率や事故率などの計算を行い、利益をはじき出します。つまり、法人である以上、健全経営で、利益を上げることが求められているのです。

これに対し、共済保険の場合は組合組織であり、加入するには出資金が必要です。が、株主が存在しないため、配当を出す必要がありません。よって、共済保険料から共済保険金などを差し引き、余剰金が発生した場合は「割り戻し金」として加入者に返金します。

そのため、積極経営型の一般保険会社と違い、商品のラインナップは保険よりも少なく、死亡保険金の最高額も600万円、1000万円などと低めに設定されています。一般保険の場合は1億円以上の保険金がありますが、堅実型経営の共済には存在しません。


監督官庁、根拠法の違い

保険会社は「保険業法」という法律によって、会社の健全性、営業方法や保険金の支払いの確実性に至るまで、厳しい規制の中にあります。監督官庁は金融庁であり、保険会社が「倒産」しても、保険金不払いの起こらぬよう「保険契約者保護機構」という「保険会社の保険」制度が存在します。これは生保、損保の両方とも制度運営しているのです。

これに対し、共済の場合は監督官庁が「関係省庁」になっています。こくみん共済、生協の共済、県民共済などは厚生労働省の所管。そして根拠法は「消費生活協同組合法」。あくまでも「組合法」という縛りがあるため、保険商品が「誰でも分かりやすい」「誰でも加入しやすい」ものになっているのは、このためです。掛け金が2,000円、1,600円などと固定しているのも、こうした理由があるわけです。

一方農協の共済、漁協の共済は農林水産省の所管です。根拠法は農業協同組合法、水産業協同組合法。農業人口は減っているため、農協の共済自体は今後の保険金支払いについて危機感があります。そのため、非農業の契約者をある程度増やす対策を取っています。

ところで「根拠法」とは何でしょうか?これは「法の後ろ盾がある」ことを意味しています。多くの契約者から集められた中から支払う数億円•数千万円の(共済)保険金は、ややもすれば「悪意」の的になりかねません。そのために保険法、保険業法が存在し、常に改正されています。倒産の「リスク回避」と契約者保護機構で保険会社と契約者は守られており、共済も保護機構はありませんが、関係省庁の監視と根拠法により「一定の安心感」を生んでいるのです。