逓増(ていぞう)保険とは
では、まず「保険金額が増えていく」定期保険をご紹介します。名前は逓増定期(ていぞうていき)保険。逓とは「だんだんと」という意味で、保険料(掛け金)は変わらずに、保険金額だけが逓増します。
一例として、契約直後は死亡時5000万円が、しばらくすると年々数百万円増額され、保険終了時には25000万円、という商品があります。『5倍』の死亡保険金増額、これは実は『法人税の規定』に合わせた商品で、つまり法人=会社経営者のための保険商品としてラインナップされているものなのです。
この商品のポイントは、通常の定期保険と違い「解約返戻金が『逆U型』にある」こと。つまり、死亡保険金だけでなく、この解約返戻金が「高いとき」を狙って解約し、役員退職金として受け取ることでメリットがある、というものなのです。普通はこうした積立金は「資産」として課税対象になりますが、この保険では「半損」で処理できます。つまり、掛け金の半額が経費で落とせるわけです。
つまり、この保険は逓増する「死亡保険金」にポイントがあるのではなく、あくまでも解約返戻金を受け取ることで、退職金を用意できる、という点にあります。また、これは法人が契約して、法人が受け取るわけですから、解約返戻金は法人に入金されます。
(注:法人契約から、個人契約に変更することで税務処理が変わる、という解釈は平成24年2月10日の税務通達で出来なくなっています)
法人では退職金として役員に支払いますが、もし赤字会計の場合はこの解約返戻金額を資産計上することで、会社の体力維持に貢献できますし、その会社規模に応じた退職金を役員に支払うことで、株主や国税局が納得する対応となります。注意点は、この保険に加入する年齢で損金処理の割合が変わることがある、ということです。
逓減(ていげん)保険とは
逓減保険は、契約した時の死亡保険金が1億円、25年後は1000万円などと「右肩下がり」に死亡保障額が減っていくものです。理屈として、65歳での退職金3000万円の企業が、45歳での早期退職金は5000万円に増額する、と同じ意味です。遺族保障期間がこの先長く、費用も多額になるケースでは、死亡保障は「大→小」と変化するのです。
尚、この商品は通常個人向けに販売されています。この商品はまさに、家族を持つ世帯主に適した保険のひとつ、といえますので一度担当者に相談してみるのがよいでしょう。
パーツの組み合わせが、定期保険の真髄
定期保険は、保険期間と保険金額をある程度「計算して」加入することができる保険です。つまり、保険の中でいえば「パーツ」であり、増やす部分、減らす部分が柔軟に行えます。
ですから、保険会社と相談して、自分の家族や会社への保障の形の「自由度」を高める商品を提案してもらうのが良いでしょう。