はじめに
住宅ローンの借り換えを検討する場合には、「どの金利タイプを選択するのか」は重要だ。さらに、借り換えには保証料などの諸費用が発生することも忘れてはならない。住宅ローンの借り換えは単純な金利差だけでなく、今後の金利動向や金利タイプの違いや、借り換えに伴うコストなども考慮した上で行う必要がある。
借り換えにとは
借り換えとは住宅ローンを新しいものに換えること。現在の返済負担を減らすために行う以上、より自身にとって条件の良い住宅ローンを探す必要がある。そのためにまずやることは現在借りている住宅ローン状況の把握だ。具体的には金利は何%か、月々の返済額はいくらか、残りの返済期間、ローン残高はどれくらいかといったことを確認する。
次に、どんなローンに借り換えればメリットが生まれるかを考える。ここでポイントになるのが金利だ。金利が現在より低くなればそれに応じて返済額負担も減る。ほかの条件と合わせて、金利差は1%以上、かつ残り返済期間10年以上、ローン残高が1000万円以上あるかどうかが、借り換え効果の有無をみる一般的な目安だ。
必ずしもこの3つの指標を満たしていなければメリットが得られないわけではない。例えば金利差1%未満でもより好ましい住宅ローンに借り換えられることは十分ある。とはいえ重要なポイントとなる金利の動向はあらかじめつかんでおきたい。
住宅ローン金利の現在と今後
2018年11月時点において、住宅ローンの金利は非常に低い状態にある。金利タイプを2種類に大別すると固定型と変動型に分けられるが、どちらも同じ傾向だ。
住宅金融支援機構が提供する、固定型の代表格である住宅ローン商品、フラット35の金利は2009年7月の時点では年2.69%だった。だがその後はおおむね右肩下がりで推移し、2018年11月1日現在では、年1.25%(融資率9割以下の場合)まで低下している。
変動型の店頭金利も、主要な大手銀行の場合2009年初頭よりずっと2.475%だ。しかも実際にはここからキャンペーンや優遇金利などで一定程度引き下げられるため、適用される金利はさらに低くなる。例えばある銀行だと1.7%から1.85%の引き下げにより、保証料を考慮しなければ適用金利は0.625〜0.775%まで下がる。
この状態はまだしばらくは続くと見込まれる。その理由は日本銀行の金融政策にある。
日本銀行が調整する金融市場の金利には短期金利と長期金利がある。短期金利は変動型の指標、長期金利は固定型の指標となっており、住宅ローンの各金利はその指標に連動して決まる。つまり日本銀行の金融政策は住宅ローン金利にも影響を及ぼすのだ。
そして日本銀行は短期金利をマイナス、長期金利を0%程度と、極めて低い水準に保つように調整する方針を採り続けている。これは日本銀行が目標としながらもなかなか到達できない物価上昇率2%実現のための方針だ。それでもなお状況は好転しておらず、その見通しも立っていない。以上から今後しばらくは住宅ローンは低金利状態が続くとみられる。