住宅ローンの負担を軽減したい時、「借り換え」は有効な手段になる。そのためには現在借り入れ中の住宅ローンの状態を確認し、どのような住宅ローンに借り換えればよいのか考えなくてならない。そのシミュレーションを事前に行っておくことが重要だ。

借り換えにあたって考えること

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(画像=PIXTA)

借り換えとは住宅ローンを新しいものに換えること。現在の返済負担を減らすために行う以上、より自身にとって条件の良い住宅ローンを探す必要がある。そのためにまずやることは現在借りている住宅ローン状況の把握だ。具体的には金利は何%か、月々の返済額はいくらか、残りの返済期間、ローン残高はどれくらいかといったことを確認する。

そして次に、どんなローンに借り換えればメリットが生まれるかを考える。ここでポイントになるのが金利だ。金利が現在より低くなればそれに応じて返済額負担も減る。ほかの条件と合わせて、金利差は1%以上、かつ残り返済期間10年以上、ローン残高が1000万円以上あるかどうかが、借り換え効果の有無をみる一般的な目安である。

必ずしもこの3つの指標を満たしていなければメリットが得られないわけではない。例えば金利差1%未満でもより好ましい住宅ローンに借り換えられることは十分ある。とはいえ重要なポイントとなる金利の動向はあらかじめつかんでおきたい。

住宅ローン金利の現在と今後

2018年7月時点において、住宅ローンの金利は非常に低い状態にある。金利タイプを2種類に大別すると固定型と変動型に分けられるが、どちらも同じ傾向だ。

住宅金融支援機構が提供する、固定型の代表格である住宅ローン商品、フラット35の金利は2009年7月の時点では年2.82〜3.96%だった。だがその後はおおむね右肩下がりで推移し、2018年7月1日現在では、年1.34〜2.01%(融資率9割以下の場合)まで低下している。

変動型の店頭金利も、主要な大手銀行の場合2009年初頭よりずっと2.475%だ。しかも実際にはここからキャンペーンや優遇金利などで一定程度引き下げられるため、適用される金利はさらに低くなる。例えばある銀行だと1.7%から1.85%の引き下げにより、保証料を考慮しなければ適用金利は0.625〜0.775%まで下がる。

この状態はまだしばらくは続くと見込まれる。その理由は日本銀行の金融政策にある。

日本銀行が調整する金融市場の金利には短期金利と長期金利がある。短期金利は変動型の指標、長期金利は固定型の指標となっており、住宅ローンの各金利はその指標に連動して決まる。つまり日本銀行の金融政策は住宅ローン金利にも影響を及ぼすのだ。

そして日本銀行は短期金利をマイナス、長期金利を0%程度と、極めて低い水準に保つように調整する方針を採り続けている。これは日本銀行が目標としながらもなかなか到達できない物価上昇率2%実現のための方針だ。それでもなお状況は好転しておらず、その見通しも立っていない。以上から今後しばらくは住宅ローンは低金利状態が続くとみられる。

借り換えしたほうがいいケース

金利が低い状態は住宅ローン借り換えのチャンスである。ただし新しい住宅ローンを借りるとなれば抵当権関係費用や事務手数料、保証料、印紙税などの諸費用もかかる。

その諸費用も踏まえて、どうすれば借り換えでメリットが出るのかをシミュレーションする。今回は「固定期間選択型」というタイプの住宅ローン金利を例にするため、まずはその内容についてみていこう。

「固定期間選択型」とは変動型をベースに一定期間のみ固定型とする金利タイプで、最初の数年間を固定型、その後の期間を変動型とする。

この形では、固定型の期間と変動型の期間で、店頭金利からの金利の引き下げ幅が異なる時がある。そのため変動型の引き下げ幅が固定型の期間より小さく設定されていると、固定期間終了後は適用金利が上がってしまうことがある。

通常、固定期間終了後は新たな利率で再度固定期間を選択することができる。しかし今回は、別の金融機関において一定幅の引き下げが全期間通して適用されるという、より好条件の住宅ローンが用意されていたためそちらへの借り換えを選んだ。なお次のシミュレーションにおいては端数処理の都合上、計算結果が完全に一致しない場合がある。

借り換えによる返済額の軽減

以下の条件で借り換えせずにそのまま返済を続けた場合と借り換えした場合を比較する。

まず、最初に借り入れたのはA銀行の固定型期間5年の固定期間選択型で、当時の店頭金利は3.0%であった。5年の固定期間時の引き下げ幅は2.2%、それ以後は1.4%と設定されており、各期間での適用金利はそれぞれ0.8%、1.6%となる。

5年経過後もA銀行の店頭金利は変わらないので、B銀行にて用意されていた店頭金利2.55%から全期間1.85%引き下げられる、5年の固定期間選択型への借り換えを決めた。この場合、借り換えしなかった時の適用金利は1.6%、借り換えた時の適用金利は0.7%である。

なおA銀行での当初借入額は3200万円、返済期間は35年、返済方法はボーナス返済なしの元利均等返済だ。計算するとA銀行での借り入れから5年経過後のローン残高は約2796万円だ。そこからB銀行借り換えにあたり返済期間は30年、返済方法は以前と同じとした。

B銀行へ借り換えた結果、まず月々の返済額は約9万8000円から約8万6000円に減少、毎月の負担がおよそ1万2000円、年にして14万円以上軽減される。5年間の総返済額では約70万円の負担減だ。ローンが変動型に移行後も金利は変わらなかったとして、30年間の累計でみると、約3522万円から約3100万円へと、約422万円減額される。

ただ実際には登録免許税など抵当権の設定に関する費用や保証料、保証会社事務手数料、印紙税、当初の金利を固定型にする際の固定金利手数料などがかかる。大手銀行のシミュレーション結果を参照すると、その合計は78万円ほどだ。特に保証料は約54万円と諸費用の大半を占めている。

それを考慮し、諸費用を借り換え後の借入金額に含めたうえで計算すると、月々の返済額は約8万8500円となり、A銀行からの減額分は月で約9500円、年で約11万4000円になる。減額の幅は小さくなり、月の返済額は約1.03倍となるが、それでも軽減される負担の度合いは小さくない。