住宅ローン,金融機関
(写真=PIXTA)

住宅ローンの比較をする際には金利だけに目を奪われがちだ。しかし、借り換えの際には金利の他にも団信保険料や、住宅ローンの組み方などは金融機関によって大きく異なる。借り換えの際には、金利以外のポイントも考慮した上で住宅ローンを選定したい。

目次

  1. 「フラット35」と「銀行の35年固定金利」のメリット・デメリット
  2. 月々の返済額、総支払額など全てに勝る「20年固定」
  3. 「「プライベートローン」比較・検討をしよう
  4. 借入方法は「ペアローン」より「単独借入」が賢明か

「フラット35」と「銀行の35年固定金利」のメリット・デメリット

マイナス金利の導入以降、人気となっている「全期間固定金利」。だからといってフラット35で安易に借りてしまうと、損する場合があるので注意が必要だ。

通常、住宅ローンを借りるときは「団体信用生命保険(団信)」に加入する。団信は死亡や高度障害で所定の状態になった場合に、保険金で残りのローンが弁済される仕組みだ。しかし、フラット35は団信加入が絶対条件ではないため、健康状態の理由から、団信に加入できない人も借りることができる。 銀行で借りる住宅ローンでは、団信の保険料は金利に含まれているため、月々の返済以外に支払う必要がない。一方、フラット35で団信に加入する人は、毎年1年分の保険料を別途支払う必要がある。たとえば、借入額3000万円を2018年11月の金利である1.45%(自己資金1割以上の場合)で借りた場合、35年間に支払う保険料は202万円にもなる。

2018年11月時点の都市銀行の変動金利は、三菱UFJ銀行が0.625%、みずほ銀行が0.525%。借入額3000万円を、フラット35の1.45%で借りる場合と比較した35年間の総返済額の差は、三菱UFJ銀行が- 486万円、みずほ銀行が-524万円となります(元利均等返済)。その他の費用の比較では、フラット35は事務手数料が高く、都市銀行は保証料が高いといった特徴があるが、このあたりの費用はほぼ同額となるケースが多い。

月々の返済額、総支払額など全てに勝る「20年固定」

20年固定という選択肢もあることを、ぜひ知っておいてほきたい。とくに借入時の年齢が40歳を超えている人ならば、有効な手段になる。

「住宅ローンの攻略法は、年金暮らしが始まる前に、いかに完済のメドをつけるか」と言われている。 最近は、年金収入より家計支出が大幅に上まわり、過度な労働を余儀なくされる「過労老人」が増えている。これから借りる人は、年金暮らしが始まる65歳までに完済する計画を立てたい。そのような時に有効なのが20年固定だ。

重要なのは、借入額を決める際に「退職時ローン残高」と「退職金・年金支給予定額」をきちんと把握しておくことだ。借入時の年齢が40歳で定年退職が60歳の場合、退職金で完済するのであれば、35年も固定する必要はない。そこで有利な金利選択法として登場するのが、一部の金融機関で扱っている「20年固定金利」だ。 これは返済期間は35年で設定して、金利を固定する期間を当初20年のみとする商品だ。40歳の人が60歳時には退職金で完済する予定として、三菱UFJ銀行の35年固定金利(1.32%)と三井住友信託銀行の20年固定金利(0.95%)で比較したい。当初の返済期間は35年で設定すると、月々の返済額、20年間の総支払額、ローン残高と、すべてにおいて20年固定が勝る。

また、金融機関によっては全期固定の20年にしかできない場合があるので注意が必要だ。たとえば、フラット35が扱う20年固定は、返済期間も最長20年となる。

「「プライベートローン」比較・検討をしよう