住宅ローンの選択において金利は大きなポイントだ。長く続くローンの返済額は、金利の影響を強く受ける。金利は大別すれば固定金利と変動金利に分かれるが、それをそれぞれ何%で借りたら返済額はどうなるかなど、計算した上での判断が大事になる。

固定金利と変動金利、利用者が多いのは

住宅ローン,返済額
(画像=ShutterOK / shutterstock.com)

住宅ローンを選ぶ際、金利の低さを重要な指標とする人は多い。住宅金融支援機構の「民間住宅ローン利用者の実態調査」(各年度第1回)によると、調査第1回目の2012年度から2017年度まで、住宅ローンを借りる決め手となった理由の1位は金利の低さである。

一般に変動金利は固定金利より金利が低く、例えば2018年7月1日時点の三井住友銀行における金利プランでは、変動金利型の適用金利は年0.625~0.775%である。保証料込みにしたとしても0.2%上積みで0.825~0.975%だ。

一方、三井住友銀行の全期間固定金利だと年1.70%以上で、保証料を含めれば1.90%以上になる。フラット35は2018年7月時点で1.340~2.010%だが、やはり変動金利よりは高い。こうした金利の違いは、金利の低さを重視する利用者の選択に一定の影響を及ぼしている。

実際、同調査を参考に各年度のローンタイプ別利用割合をみると、変動金利はおおむね3割5分から5割の範囲を推移しており、ほかよりも比較的高い。変動金利をベースに、ある一定期間のみ固定金利とする固定期間選択型金利を変動金利に含めれば、6割から9割近い利用割合となる。

固定金利は1割台からときに4割近くを占めた年度もあるが、平均して変動金利ほど利用割合は高くない。このように直近6年間の傾向としては、固定金利より変動金利を選ぶケースが多くなっている。

固定金利と変動金利 返済額の比較

当初の金利のまま、固定金利と変動金利を借りたケースを比較してみると返済額の差は歴然だ。ここでは固定金利の商品を金利1.340%のフラット35、変動金利は民間の銀行住宅ローン商品、金利は三井住友銀行を参照して0.825%とする。ともに借入額は3500万円、返済期間は35年、ボーナス返済分は考慮せず、返済方法は元利均等返済だ。

1.340%と0.825%はフラット35の固定金利ならびに三井住友銀行の変動金利として定められている適用金利のうち、2018年7月時点で最も低い金利である。後者においては0.625%が最低であるが、保証料を含めて0.825%としている。フラット35は保証料不要のため含めていない。

これを基に計算してみると、固定金利の場合の返済額は月に約10万5000円、総返済額は約4387万円となる。変動金利の場合だと月に約9万6000円、総返済額は約4031万円だ。

月々の返済額は変動金利の方が固定金利より低く、9000円ほどの差がある。以後変動金利などに変化がなければ総返済額には約356万の差が生まれる。

ただ固定金利と変動金利の根本的な違いは、固定金利では通常全期間の金利があらかじめ決まっているのに対し、変動金利は借入時より後に金利が変わる可能性があることだ。将来の金利動向次第では当初の率より高くなり、その程度によっては固定金利よりも総返済額が増えてしまう。

金利上昇に伴う変動金利返済額の変化

では変動金利において、借り入れ後に金利の変動があると返済額へはどう影響するか。変動金利の場合、適用金利は通常年2回変わり、返済額は基本的に5年単位で見直される。つまり金利に変動があっても直ちに返済額が変わるわけではない。

それを踏まえて5年経つごとに変動金利型の金利が0.5%上がったとしたら返済額はどうなるか、計算してみる。

金利は1~5年目で0.825、6~10年目は1.325%、11~14年目1.825%、15~20年目2.325%、21~25年目2.825%、26~30年目3.325%、31~35年目3.825%だ。借入額は3500万円、返済期間は35年、ボーナス返済分はなし、返済方法は元利均等返済とする。

これらの情報から計算すると、返済額は1~5年目で月約9万6000円、6~10年目で約10万3000円、11~15年目で約10万9000円と、徐々に高くなる。

以後は16~20年目約11万4000円、21~25年目約11万9000円、26~30年目約12万1000円、31~35年目約12万3000円と推移し、適用金利の上昇に伴って月の返済額も上がることがわかる。

返済額を5年単位でみるとそれぞれ約575万8000円、約618万3000円、約655万5000円、約686万9000円、約711万5000円、約728万7000円、約737万7000円だ。最初500万円台だった返済額は700万円台まで上がり、35年間の総返済額は約4714万円にのぼる。

固定金利の返済額と比べると

5年経過ごとに0.5%の金利上昇を想定した変動金利のケースと固定金利1.34%のケースをほか同条件で比べると、最終的な総返済額は変動金利のほうが高くなる。

返済期間などは同じとして計算すれば総返済額は固定金利で約4387万円なので、変動金利の約4714万円はそれよりも約327万円高くなる。返済額増加分を月単位に直すと約7800円負担が増す計算だ。

仮に5年目以降、金利が1.325%から変わらないとすれば、総返済額は4285万4670円で固定金利よりも低くなる。

しかし11年目以降に固定金利の1.37%を超えて1.825%に達し、以後も5年ごとに上昇していけば、それに伴って総返済額も固定金利の場合より高くなってしまう。ちなみに1~5年目0.825%、6~10年目1.325%、11年目以降はずっと1.825%とした場合、総返済額は4471万8490円になる。

この金利上昇リスクは、変動金利において留意すべきポイントである。一度住宅ローンを借りた後、金利の動向によって返済額の負担が増すケースは起こり得る。

固定金利を選んだ際も、当初借入時より住宅ローンの金利が下がっている状況で最初の金利のまま返済し続けると、結果的に損をしてしまう。どちらを借りるにしてもその後の金利の動きには注意が必要だ。