(本記事は、大村大次郎氏の著書『税金を払わずに生きてゆく逃税術』悟空出版、2018年3月4日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

プラベートカンパニーは逃税のためにある

税金を払わずに生きてゆく逃税術
(画像=GaudiLab/Shutterstock.com)

自営業者、不動産を持っている人、多くの資産を持っている富裕層は、プライベートカンパニーをつくって税を逃れることも多い。

プライベートカンパニーは、ざっくり言えば個人の収益や資産を管理するためにつくった会社のことである。

普通の会社とどう違うかというと、普通の会社は、世間からお金を集め、それを資金に収益をあげることを目的としているが、プライベートカンパニーは、個人の節税や収益資産管理が最大の目的であるということだ。

プライベートカンパニーといっても、一般の会社と法的な区別があるわけではない。一般の会社と同じような形態(株式会社など)を取りながら、あくまで個人の収益、節税を目的とするのである。

日本の会社のほとんどが、実はほぼプライベートカンパニーなのである。

自営業者は、サラリーマンなどに比べて、かなり税金が割安になっている。

ただし、自営業者の事業がそれなりに大きな規模になると、「生活費を経費に計上する」程度では節税がおっつかなくなる。そのため、法人化し、もっとダイナミックな節税をするのである。

一般の方にとっては、「会社をつくる」ことでなぜ税金が安くなるのか、わかりにくいと思われる。

なので、その仕組みを簡単に説明したい。

普通、事業を行うには、二つの形態がある。

「個人事業」と「会社」である。

マンションを所有して、それを賃貸するような不動産業にも、「個人事業」と「会社」の二つの形態がある。

会社をつくると、なぜ税金が安くなるのかマンション経営を例にとって話を進めよう。

お金持ちはこうして利益を分散させている

会社をつくれば、妻や親類、子供などをその会社の社員にすることで、会社から給料を払うことができる。

会社をつくらなければ、マンションからの収入は全部、所有者の個人収入となる。もし、それで5000万円の収入があれば、全部が自分一人の収入となって、所得税や住民税がかかってくるのだ。

いっぽう会社をつくって、5000万円の収入の中から、妻、子供に給料を払い、収入を分散し、会社側には一切、利益が残らなかったとする。

そうすれば、この会社には税金がまったくかからない。妻と子供にはそれぞれ所得税が発生するものの、所有者が一人で5000万円を受け取るよりは、はるかに安い額で済むのである。

金持ちがプライベートカンパニーをつくるのは、大まかに言えばこういうメリットがあるからなのだ。

そして、要件さえ満たしていれば、誰でも会社をつくることができる。

会社をつくるための要件は、「法人登記する」ということだけだ。

しかも、法人登記も、資本金と登記料、役員名簿などを準備すればいいだけである。

資本金は、今ではほとんどゼロでもいいことになっている。

だから事実上、登記にかかるお金(登記費用、司法書士への報酬など)だけを用意すれば、会社はつくれるのだ。

そして、どんな小さな事業であっても、法人登記さえしていれば、法律上は「会社」ということになる。事業の大きさはまったく関係がない。

同じような事業を同じような規模で営んでいても、法人登記をしていれば「会社」となり、していなければ「個人事業」ということになる。

たとえ従業員が一人しかいない小さな事業所であっても、法人登記をしていればれっきとした「会社」であり、従業員を何百人も抱えるような大事業所であっても、法人登記をしていなければ「個人事業」なのである。

そして法人登記をしていれば、税法上は「法人税法」の対象となり、会社としての取り扱いになる。

うまく使いたい接待交際費

会社の業務というのは様々な経費を計上できる。一般の人が思っている以上に、会社の経費の範囲は広いのだ。

たとえば、社宅という形にして、家やマンションを購入することもできる。

家の名義は会社になっているが、その会社を所有しているのは自分なので、結局、自分が家を持つのと同じなのだ。

また、社用車として車を購入することもできる。

その車が会社の名義であり、少しでも会社の業務で使っているならば、社用車にできるのだ。

交際費を経費で落とすこともできる。

事業に関係する接待交際費ならば、原則、会社の経費に計上できる。これもけっこう範囲が広いのだ。

仕事上の友人など、少しでも仕事に関係している相手との食事代などであれば、接待交際費とすることができるのである。税務署も、よほどのことがない限り接待交際費の相手まで細かく調べることはない。

ただし、資本金が1億円を超える大企業には交際費は認められていない。

しかし、プライベートカンパニーで、資本金が1億円を超えるというようなことはほとんどないだろう。

芸能人のプライベートカンパニー生活

芸能人は売れてくると、自分で会社をつくることがときどきあるが、それも同様の理由である。

芸能人のつくる会社の多くは、自分のギャラの管理をするためだけに設立されている。たまに、副業をするために会社をつくる芸能人もいるが、それは稀な例である。

芸能人のギャラは、普通、芸能事務所から支払われる。

そのギャラをいったん会社が受け取り、芸能人自身はその会社の一社員として給料を受け取るという仕組みにする。

そして、会社の役員や社長などに、自分の親族を据えておく。

そうすれば自分のギャラを、親族などに分散することができる。

豪邸や高級マンションの購入も、もちろん会社名義で行っていることが多い。

当然、それは大きな節税になる。

1億円のギャラをそのまま受け取れば、1億円の収入に対して所得税を払わなければならない。

しかし、会社をつくって、いったんそこで受け取り、様々な経費を支出して、自分個人の給料は低く抑える。そうすれば、税金は何分の一にもなるのだ。

いや、ほとんど税金をゼロにしてしまうことさえ可能なのである。

日本の会社の7割は赤字だ

また、会社は役員や社員に対して「福利厚生費」を出すこともできる。

これが、個人事業と大きく違うところである。

個人事業者は、自分自身に対する福利厚生費は認められていない(明確な条文があるわけではなく、慣習的に税務署が認めていない)。

しかし、会社の場合は、相手が経営者であっても福利厚生費を支出することができるのだ。

オーナー社長であっても、会社との関係は建前の上では「雇用関係」となるからだ。

福利厚生費では、居住費、食費の補助、レジャー費用の補助などを支出することができる。

つまり、生活費に関わる費用を、会社の経費で落とすことができるのだ。

そうして、会社の経費を積み上げて利益を減らし、税金がほとんど生じないようにできるというわけだ。

経費を積み上げることで、わざと赤字にして税金(法人税等)をまったく払っていない会社も多い。

日本の会社の7割は、赤字なのである。

本来、会社というのは赤字になれば立ち行かないので、「全体の7割が赤字」というのは異常事態と言える。

しかし、実は、この7割の赤字会社の大半は、「税務上、赤字になっているだけ」であり、本当に借金経営で苦しい状態になっているわけではない。

むしろその逆で、実質的には大きな利益を上げていることも少なくない。

経営者も所得控除で税金が安くなる

プライベートカンパニーをつくれば、経営者であっても税法上はサラリーマンということになる。

社長であっても、会社から報酬をもらう「雇われ人」という形になるのだ。

そしてその報酬は、サラリーマンの給料と同じ扱いになる。

そしてサラリーマンになると、「給与所得者控除」が受けられる。

給与所得者控除とは、給料に対して全額が税金の対象になるのではなく、一定の金額を割り引いた残額に税金をかける、という制度である。

給与所得者控除の金額は、次ページのの算式によって求められる。

たとえば、年間給料の額が600万円の場合、収入の20%プラス54万円なので、174万円となる。

この174万円が給料の額から差し引かれるので、600万円?174万円で、426万円が税金のかかる収入ということになるのだ。

つまり、サラリーマンは600万円の給料をもらっていても、税金の対象となるのは426万円で済む、ということである。

なぜこのような制度があるのかというと、サラリーマンは他の事業者のように必要経費が認められていないので、それでは不公平ということで「必要経費」の代わりに給与所得控除が認められているのだ。   サラリーマンであれば誰でも、必要経費の額にかかわらず、左の算式に応じて控除が受けられる。

会社経営者の場合も、建前のうえでは会社から報酬をもらって仕事をしているサラリーマンなので、当然、この「給与所得者控除」が受けられる。

経営者も他のサラリーマンと同じように、給料の全額に税金が課せられるのではなく、一定の金額を差し引いた残額に税金が課せられるのだ。

つまり会社経営者は、自営業者と同じように会社で様々な経費を計上できるうえに、サラリーマンの特典である「給与所得者控除」も受けることができる。

自営業者の税法上の恩恵と、サラリーマンの税法上の恩恵、両方を受けられるということだ。

税金を払わずに生きてゆく逃税術
大村大次郎
大阪府出身。国税局で10年間、主に法人税担当調査官として勤務し、退職後、経営コンサルタント、フリーライターとなる。執筆、ラジオ出演、テレビ番組の監修など幅広く活躍中。『あらゆる領収書は経費で落とせる』(中公新書クラレ)、『税金を払う奴はバカ』(ビジネス社)など著書多数。また、経済史の研究家でもあり、別のペンネームで30冊を超える著作を発表している。 (画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)