証券会社の中でも存在感の大きい「野村證券」。株式投資を始めるにあたり、口座開設を考えている人もいるのでは?そんな野村證券の特徴と手数料を紹介しよう。

野村證券の揺るぎない伝統と実績、豊富な取扱商品数で資産運用の可能性が広がる

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(画像=Matej Kastelic/Shutterstock.com)

野村證券は、1925年に大阪野村銀行の証券部を分離独立して設立された老舗証券会社だ。設立以来、証券業界を牽引してきた実績は誰もが知るところだろう。

業界トップの証券会社に資産を預ける安心感

現在でも野村證券の実績は同業他社から抜きんでている。野村證券(連結)の財務状況を見ると、2018年3月期収益合計(金融費用控除前)が1兆9,720億円、同期の税引後当期純利益は2,193億円を計上している。第2位の大和証券(連結)は、2018年3月期営業収益(金融費用控除前)が約7,126億円、同期の税引後当期純利益は1,105億円程度となっており、第1位の野村證券が大和証券の2倍近い利益を上げていることがわかる。ちなみに、ネット証券最大手SBI証券(連結)の2018年3月期営業収益は約1,167億円、税引後当期純利益は約368億円であることから見ても、野村證券の財務規模が他を圧倒していることは明らかだ。

「調査の野村」が誇る多彩な調査レポートや個別銘柄分析など

野村證券の強みは、「調査の野村」といわれることからもわかるように、高い調査・情報収集能力だ。始まりは、野村證券の前身である野村商店の「調査部」が1906年に設置されたことにさかのぼる。独自の調査活動をまとめて「大阪野村商報」を発刊し、顧客に配布した。こうした「調査の野村」の流れが、野村證券の顧客ならだれでも無料で読むことができる多彩な調査レポートや、国内外証券市場の概況・経済・金融動向などの豊富な投資情報の提供に受け継がれている。各種経済レポートに加えて、個別銘柄分析が掲載されている「野村週報」や、マーケット情報を集積した「野村ウィークリー」、日本株・外国株の参考銘柄群を紹介する「Nomura21 Global」、各資産に関する見方や野村證券の専門家による相場ポイント解説やアドバイスなどが掲載されている「季刊資産管理」をはじめ、「調査の野村」自慢のプロフェッショナルな投資情報の数々はその典型だ。

取り扱う金融商品の種類が多い

国内株式・外国株式・投資信託・債券・ETF(上場投資信託)・REIT(不動産投資信託)・FX・預金・ローン・保険など、たいていの金融商品を取り扱っているので、野村證券に口座を開いておくと、資産運用の選択肢が多くなるというメリットがある。将来的に、さまざまな金融商品でポートフォリオを組んで資産形成したい人には便利に使える証券会社だろう。

野村證券の取引口座は2種類から選択

野村證券で口座を開設するにあたっては、インターネットまたは電話を使って自分で取り引きする「野村ネット&コール口座」か、本・支店の担当者と対面で相談・取り引きできる「本・支店口座」のいずれかを選択する。どちらの口座を開設するかによって取引手数料も違ってくるので、どのように取り引きを進めたいのかを十分検討した上で決める必要がある。

以下に、「野村ネット&コール口座」と「本・支店口座」の特徴と、1注文当たりの取引手数料の一例として、現物株式の約定代金が300万円以下の場合を紹介する。

「野村ネット&コール口座」と「本・支店口座」の特徴・手数料比較一覧

野村ネット&コール口座 本・支店口座
インターネット・電話を使って取引 本・支店担当者に相談しながら取引
【適した投資スタイル】
・投資情報を自分で収集・分析したい
・手数料を抑えたい
・スピーディーに取引したい
・電話でも質問したい
【適した投資スタイル】
・担当者による情報収集・分析のサポートあり
・アドバイスを受けながら、じっくり考えて取引したい
・相続について専門家に相談したい
・資産運用について相談したい
・保険・野村ファンドラップ・野村SMA(エグゼクティブ・ラップ)に投資したい
約定代金 インターネット 電話 約定代金 基本料率
~10万円 150円 1,954円 20万円以下 2,808円
~20万円 324円 1,954円
~30万円 324円 2,571円 20万円超50万円以下 1,4040%
~40万円 515円 3,498円
~50万円 515円 4,423円
~70万円 1,029円 5,760円 50万円超70万円以下 1.0800%+1,620円
~100万円 1,029円 7,509円 70万円超100万円以下 0.9288%+2,679円
~150万円 2,057円 10,080円 100万円超300万円以下 0.8640%+3,327円
~200万円 2,057円 12,857円
~250万円 3,086円 15,737円
~300万円 3,086円 18,000円

※上記比較一覧は、野村證券ホームページを参照の上、執筆者が作成している。

「野村ネット&コール口座」は、ネット証券会社のように専任担当者を付けずに比較的安い手数料で取り引きできる口座である。野村證券の充実した各種投資情報を「本・支店口座」顧客と同様に閲覧することができる上に、臨機応変に電話で相談や取り引きできるのがメリットだ。

「本・支店口座」の取引手数料は野村ネット&コール口座の手数料に比べると高めである点は否めない。メリットは、専門知識が豊富な担当者や専門家から投資運用についてきめ細かなアドバイスを受けたり、今お勧めの商品を紹介してもらったりすることもできるので、証券会社を自分の投資運用コンサルタントとして利用することができることだろう。

野村證券で口座開設するメリット・デメリットは?

上記比較表からもわかるように、野村證券の本・支店口座を選択すると、ネット証券や野村ネット&コール口座に比べて手数料がかなり高い印象を受ける。この点については、手数料の安さを証券会社選びの条件に考えている人には明らかにデメリットだ。野村ネット&コール口座の現物株式最低取引手数料は150円。主要ネット証券であるSBI証券と楽天証券の最低取引手数料が1注文当たり50円、カブドットコム証券は90円、マネックス証券は100円、松井証券では1日の約定代金10万円まで手数料無料であり、野村ネット&コール口座の手数料でさえ、ネット証券の手数料の安さには及ばない。

その一方で、野村證券に口座を開設するメリットは、野村證券の強みでもある証券業界のリーディングカンパニーとしての安心感と、優れたリサーチ力の集大成である多彩なレポートやさまざまな投資情報を無料で利用できること、加えて取り扱う金融商品の多さにほかならない。

さらに、手数料は高めではあるものの、本・支店口座を開設するメリットは、それぞれの投資経験・投資スタイル・投資運用目的など、顧客のニーズに合わせた丁寧なコンサルティングサービスを、専門知識を有する担当者から受けられることであるのは間違いない。

野村證券に口座を開設するもう一つのメリットは、IPO(新規公開株式)の抽選で有利になる点だ。野村證券では、2017年だけを見ても、IPO引受金額第1位、さらに主幹事案件第1位の実績がある。IPOで野村證券が主幹事である場合、他社に比べて公募の際の割当株数が多くなるため、野村證券の顧客が抽選に当選する確率が高くなる。IPOに興味がある、またはIPO投資をする予定があるならば、ぜひとも口座を開設しておきたい証券会社だといえる。

野村證券で口座開設 どんな人が向いている?

野村證券のノウハウを最大限に吸収して将来の資産運用の糧にしたい人や、さまざまな金融商品でポートフォリオを組んで、専門知識に裏付けられた安定的な資産運用または戦略的な資産形成を望む人、IPOで着実に値上がり益を確保したい人など、手数料の安さだけにとらわれず論理的・実証的に投資運用をしたい人には、野村證券はお勧めできる証券会社だろう。

文・近藤真理(フリーライター)/MONEY TIMES

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