(本記事は、福山敦士氏の著書『マンガでわかる!入社2年目の教科書』ぱる出版、2019年2月22日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
締め切りを(ほぼ)ゼッタイ守れる最強の「3分ルール」―短時間でも着手すれば、仕事の全体像が見えてくる
「すみません。納期を伸ばしてもらえますか?」
仕事をしていると、いつも締め切りに遅れる人がいるはずです。
一方で、誰よりも忙しそうなのに、締め切り厳守の人もいるでしょう。
両者の違いは、仕事の速さ。
でも、仕事の速さ=作業スピードの速さではありません。たとえば、タイピングの速い人=仕事の速い人、とは必ずしも言えないはず。作業時間の短縮で仕事を速くするのは限界があるのです。
仕事の速い人は、着手するスピードが速いのです。仕事の遅い人は、着手前に悩んでいる時間が長い。
仕事を目の前にすると「どこから手をつけよう」「誰に発注お願いしようかな」「っていうか、自分にできるのか」とひとしきりうろたえた後、「後で考えよう」などと着手を後回しにしてしまいます。
スピード仕事術のコツは、とにかく速く着手すること。これが大事。前提条件。着手を後回しにしたら、ドツボにハマります。
では、着手するときのコツは何でしょうか。
私は「3分ルール」で全体像をつかむようにしています。3分ルールのコツは次の3点。
1)3分で作業工程を書き出す会議でプレゼンする場合で考えてみましょう。
「テーマ・ターゲットを考える」「上司と方向性の確認」「目次作成」「パワポで資料作り」「プレゼンアシスタントとのリハ」と全体の工程を3分で分解します。
この時、優先順位やダブりなどは無視します。
2)3分でセンターピンを見抜く次に分解した工程をまた3分かけて見渡します。
ポイントは、外してはならない要素やタスクを見極めること。ボーリングのセンターピンのように、「ここを外さなければ上手くいく」というポイントを見出すことです。
3)タイマーで時間を計る時間は厳密に3分に絞ったほうが集中力が増します。
私は、タイマーや砂時計を使い3分を計っています。初速に勢いをつけたい場合、3分という定められた時間を意識することがオススメです。
全体像が見渡せると、「大きな仕事」に漠然とおびえているより、気持ちがラクになります。
気が進まない仕事こそ、「まずは3分やってみる」をルールにしてみてください。決断のスピードを上げることは自分のためですが、結果相手のためにもなります。
冒頭の納期引き延ばしのセリフを考えてみましょう。早い段階で相談することを決断できてたら、相手も対応手段があるでしょう。しかし、この相談が遅れれば遅れるほど、相手の時間も奪われ、対応手段が限定されることになります。
決断スピードを上げる。それだけで、自分も相手も負担が減っていくのです。ショートカットキーをたくさん覚えて作業スピードを上げたところで、仕事は速くなりません。
「急ぎの仕事」をいっぺんに解消できる「仕事=落ちゲー」理論とは?―どこに落とすか「決定」する力がモノをいう
上司から『急ぎの仕事』振られちゃった!
3分ルールで仕事を分類していくと、優先順位に迷う仕事が出てきます。「今日が納期のAを最優先すべきだけど、上司に振られたBも急ぎの仕事らしい」……こんなとき大事なのが「まずはAを終わらせよう」と決めて、そこにコミットすることです。
そうしてAを終わらせてから、落ち着いてB、Cと片付けていきます。優先順位を決めて、1個1個片付ける。これが急ぎの仕事が複数あるときのコツです。
「どうしよう、終わらない」とパニックになると、AもBも納期に間に合わなくなります。
この時必要なのも「作業スピード」ではなく「決断力」。2つの中でも1番にするべき仕事はどれか。これを決めて集中することが、案件が被かぶったとき、うまく仕事をさばくコツです。
Aに絞ると決めたら、「Aから着手して今日中に仕上げてから、Bに着手しようと思いますが、よろしいでしょうか?」などと上司に相談をしましょう。よくよく聞いてみれば、「急ぎ」といっても、あしたの午前中であれば、十分間に合うかもしれません。
私は新卒で入った会社でゲームの立ち上げに関わったのですが、みなさんはテトリスというゲームをご存知でしょうか?
ぷよぷよでもモンストでもいいですが、ああいう落ちゲーと仕事って似てます「ああ、たまってきた。ヤバいよ、ヤバいよ」とパニックになるとゲームオーバー。
落ちゲーがうまい人の共通点は、ベストな選択でなくてもいいから、とにかく「ここに落とす」と決断している点です。この「決断」こそが、あなたのオリジナリティになります。
あらかじめ決まった作業をするだけなら、ロボットにもできます。でも複雑な状況下で決断を下すことは、まだまだ人間にしかできない仕事。
これからの社会を生き抜けるビジネスパーソンになりたいのなら、決断力を磨くことは必須。パソコンのタイピングが速くなるだけでは、仕事は速くなりません。