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(おでんは「はんぺん」「ちくわ」「だいこん」「さつま揚げ」「たまご」「ミックス」の6種類(一本130円))

こんな組み合せがあったのか! コンプリートしたくなる絶品料理

『西尾さん』の魅力はこれだけではない。「また食べたい、全種類味わってみたい!」と思わせる、ここでしか食べられない料理の数々も、お客さんが途切れない理由の一つである。

『西尾さん』の名物メニューのひとつが、毎月京都の錦市場に行って仕入れてくる、北海道産の昆布を使った焼酎割りだ。焼酎割に昆布のみを加えた「先斗(ぽんと)割」、昆布と梅干を加えた「瑞江(みずえ)割」、そして昆布と削りたて鰹節を加えた「だし割」の3種類を用意(各380円、飲み終わっても200円で替え玉焼酎可能)。ほかにもお茶の渋みと爽やかさが絶妙な緑茶割り「静岡割」(380円)などもある。ちなみにソフトドリンクは、お店の前の自動販売機に限り持ち込み可能。買ってきたらストローをいただける。

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(飲めればラッキーな「瑞江割(380円)」。時間が経つほどに、昆布の旨味と梅干しの味わいが滲み出て美味しさを増していく。お値段も大変良心的だ)

ドリンクメニューは全部で約20種類、フードメニューも同じく20種類ほどだ。「あんまり用意し過ぎても材料を余らせてしまったりするので、結局この数に落ち着きました」と西尾さんは言う。

ほぼ全員が注文するという手作りのさつま揚げもおすすめだ。外は香ばしくパリッと揚げられており、中身はふわふわ。出てきたら熱いうちにすぐに食べたい一品だ。また、他店では味わえない変わり種メニューもあり、たとえばクラッカーとホクホクのかぼちゃの相性が絶妙な「カボサラ(580円)」や、じゃがいもにバターと塩辛をのせた「揚げじゃがバター塩辛のっけ(580円)」など、一度味わうと病みつきになるメニューが並ぶ。

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(画像=ほぼ全員が注文するというさつま揚げ)

ほかにも、“あたり前田のクラッカー”と一緒にいただく「クリームチーズの味噌漬け」や、サクサクの岩のりとたくわんのハーモニーが素晴らしい「岩のり丼」、TKGならぬ「OKG(おかかがけご飯)」などのメニューも。この自由奔放なメニュー構成の理由についてうかがうと、「メニューは昔から好きなものや、自分が食べたいものを作るようにしています」との答え。至ってシンプルな考え方だが、“好き”を追求する姿勢が結果的に料理のクオリティー向上に繋がっているのだろう。

そんな西尾さんに料理を作る上で大切にしていることをうかがうと、「いつでも同じ味の料理を出すこと」との答えが返ってきた。

「昔、独立するときに、“お店を始めると休めなくなるのでは?”と心配していたんです。でも、お世話になった方から『1か月休んでもお客さんが帰ってくるような店を作ればいい』という言葉を頂いたんです。だから、メニューも大きく変えず、いつお客さんが来ても『いつもの味だね』と言ってもらえるよう努力しています」

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(画像=忙しくても笑顔を絶やさない西尾さん)

最後に『西尾さん』という店名についてうかがうと、「最初は全然決まらなかったんですよ。でも電話にでるときに『ハイ、西尾さんです』と答えちゃったことがあって、もうそれでいいかなって(笑)。『西尾』だとちょっと堅くて入りにくいし、『西尾ちゃん』だと通りを挟んだ向こう側(新宿二丁目)に行ってしまいますから、『西尾さん』でいこうってなったんです」と教えてくれた。

知り合いの家に遊びにきているかのような居心地で、ほかでは味わえない絶品メニューをいただける『西尾さん』。帰り際には「気をつけてお帰りくださいね」とホッカイロをいただき、お腹も心もほっこりと満たされた。こんなアットホームで、たくさんの魅力がつまったお店だから、客はまた自然と足が向いてしまうのかもしれない。

西尾尚(にしお・ひさし)
静岡県生まれ。中学卒業後、寿司店で7年間修業を積む。その後、大学の生協食堂や居酒屋『楽(現・汁べゑ)』などに勤務し、2004年に独立。新宿3丁目に『西尾さん』を開店する。著書『居酒屋「西尾さん」のぬくもり酒』

『西尾さん』
住所/東京都新宿区新宿3-1-32 新宿ビル3号B1F
電話番号/03-3358-6625
営業時間/17:00~24:00
定休日/不定休
※当日予約制

執筆者:『Foodist Media』編集部

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