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(画像=一口ほおばると、葉ニンニクの香りがフワっと広がる「ラム肉入焼き餃子(500円)」。もちろん皮も餡も手作りだ)

「どこかで食べたことがある味にならないように」

使用する調味料にも工夫がある。調味料自体は、中国で厳選したものと、日本で手に入るものに分かれるが、それを調合したり漬けたりして、「どこかで食べたことがある味にならないよう」気をつけている。

「あとは、一品ごとのポーションを少なくすることで、いろいろな料理を楽しんでいただけるようにしています。お客さんとしては、テーブルの上にたくさんの料理が並んでいる方が、楽しいと思うんですよね。うちは女性のお客さんも多いので、2人くらいでちょっとずつつまめる量に設定しています」

羊はまるごと一頭を購入することで仕入れ価格を抑え、かつ「羊は捨てるところがない」と梁さんが語る通り、各部位を余すことなく調理するという。ちなみに、店舗の3階にはセントラルキッチンがあり、そこでグループ店舗で使う食材の一次加工を賄っている。

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(画像=女性客に人気の「自家製板春雨の冷菜(700円)」。もちもちとした、ジャガイモのデンプンを使った太めの春雨と、シャキシャキの野菜の食感が楽しい)

お客さんの7割が女性。心掛けているのは「安心して入れる」店

シンプルながらも、どこか温かみを感じる店内のしつらえも『羊香味坊』の魅力の一つだ。店内の照明が明るく、さっぱりとしていて女性でも気軽に入れる。窓も大きなガラス張りなので、外を通りかかった人でも、どんな店かわかりやすい。

「お客さんが安心して入れるお店を作れればと考えています。店内は、コンクリートの打ちっぱなしにしながらも、テーブルや窓枠には木材を使い、無機質になり過ぎず、居心地がいい空間を作るように工夫しました。お客さんも中がみえると安心して入れますもんね」

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(画像=ヒバの一枚板を加工したテーブル。お客さんの服などが引っかからないよう、テーブルの木の角を落とすなど、細かいところにも配慮が行き届いている)

シンプルで余計なことはしていないのに、気持ち良く過ごすことができる店内。どこか提供している料理にも通じるものがある。

「もちろん男性の方もそうなのですが、女性のお客さんの方が、お料理やワインをしっかり味わいたいという方が多いような気がします。そういった要望にもしっかり応えられるように、これからも快適なお店づくりに取り組んでいけたらと思います」

スパイス使いにこだわった、手作りの絶品料理。そして「楽しい時間を過ごしてほしい」という梁さんの考えのもと始められた、少量での提供スタイルや低価格帯のビオワイン。ブルーオーシャンを攻めたという独自性もさることながら、梁さんの経営者としてのしっかりとした哲学があるからこそ、『羊香味坊』はたくさんのお客から愛されているのだろう。(提供:Foodist Media

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(画像=人気ドラマ「孤独のグルメ」にも登場した(2017年5月放送)店舗。道路に大きく開けた開放的だ)

『羊香味坊 (ヤンシャンアジボウ)』
住所/東京都台東区上野3-12-6
電話番号/03-6803-0168
営業時間/平日11:30~23:00、土日祝13:00~22:00
定休日/無休
席数/75

執筆者:立岡美佐子