2019年10月に消費税率が8%から10%へ上がります。1989年4月に消費税が導入されてから、税率がアップするのは3度目です。過去の税率アップ時に起きたことを振り返り、暮らしにどんな影響があるのか考えてみましょう。

過去の消費税率アップの年に起きたこと

消費税
(画像=PIXTA)

消費税率がアップしたのは1997年4月と2014年4月です。

1997年4月に税率は3%から5%へ上がりました。エアコンや冷蔵庫などの家電、自動車など高額品の駆け込み消費が起こり、その反動もあって景気は冷え込んでいます。ただこの年は財政再建の緊縮予算が組まれた年で、大手証券会社などの金融機関破たんなどもあり、景気が悪化したのは何も消費増税だけの影響とは言えなさそうです。年末には景気対策のための特別減税も実施されています。

2014年4月には5%から8%へと上がりました。前回の税率引き上げ時に駆け込み消費の中心となった家電や自動車などの購入への影響を抑えるため、家電エコポイント、エコカー減税が導入され、同時に自動車取得税も引き下げられました。また住宅エコポイントや子ども手当の導入、公立高校無償化などが対策として採用されました。

駆け込み需要の反動が予想を上回り、2014年度の実質経済成長率は0.3%のマイナス成長となり、政府は2014年11月、税率引き上げを当初予定した2015年10月から2017年4月まで1年半延期しました。その後デフレ脱却がなかなか進まないこともあり、増税は再び2019年10月へ延期となりました。

住宅購入への影響は?

駆け込み需要の中でも特に大きな買い物である住宅について考えてみましょう。これから住宅購入を考えている人への影響は、建物取得費・仲介手数料・事務手数料・司法書士への報酬などに出てきます。

仮に4,000万円の物件の場合、建物取得費にかかる今回の消費税アップは80万円です。

一般的に新築マンションの諸費用は物件価格の3〜5%と言われているので、諸費用を5%とすると合計で84万円のアップとなります。これ以外に引っ越しや家具・家電など入居にかかる費用にも税率アップの影響があることを考慮すると、住宅購入にかかる費用は更に増える可能性があります。また、住宅ローンを検討している場合は、その分借り入れ額を増やす必要があるので月々の返済額にも影響してきます。

しかし、住宅ローン減税など家計負担を減らす対策もとられています。今回の税率アップの際も、2019年10月1日から2020年12月末までに入居する住宅については、控除期間を10年間から3年延長し、13年間にする方向で議論が進んでいます。消費税アップ前に購入が間に合わない場合は、こうした対策もうまく活用したいところです。

なお、現在住宅ローンなどの借り入れがある場合、税率アップでどうなるのか気になる人もいらっしゃるでしょうが、ローンの借入利息は消費税の課税対象外です。

軽減税率やポイントなど2019年10月の税率アップへの対策は?

政府は2019年10月の増税への景気対策として、飲料・食料品や新聞の消費税を8%に据え置く軽減税率の導入や、中小小売店でのキャッシュレス決済へのポイント還元、マイナンバーカード取得者への買い物ポイント付与などが検討されています。

特に軽減税率はこれまでになかった施策です。弁当やハンバーガーなどをコンビニのイートインコーナーやファストフード店内で食べると「外食」の扱いで消費税10%になりますが、テイクアウトすれば軽減税率の対象で税率8%となるなど、これまでにない対応がお店にも消費者にも求められます。

景気対策の中には、手続きが必要なものも出てくるでしょう。ニュースなどでしっかり情報を取得するという意識を持っておきましょう。

企業は消費者心理をつかみ、税率アップ前には駆け込み需要を促すまとめ買いセールなどを積極的に行います。消費者として冷静に行動して、不要な買いだめは控えるなど賢くありたいものです。買いたいと思ったモノが本当に必要かどうかしっかり見極める機会にしてみてはいかがでしょうか。(提供=auじぶん銀行)

執筆者:三原由紀(ファイナンシャルプランナー)

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