もうすぐ「平成」が終わります。この30年間で、日本経済はどのように変化してきたのでしょうか。日本の株価、為替(ドル円レート)、政策金利、大卒初任給、貯蓄という5つの数字の変化から平成史を読み解きます。

「株価」――バブル期からの急降下、3万8900円から7600円まで

平成
(画像=PIXTA)

平成が始まった1989年、日本はバブル経済の真っ只中にいました。その年の12月29日、日経平均株価は現在も破られていない最高値3万8915円87銭を記録しました。

その後バブルは崩壊し、景気の低迷期に突入。1992(平成4)年3月に2万円を割りました。2000(平成12)年頃のITバブルでネット関連企業の株価は上がったものの、2003(平成15)年には7607円88銭まで下落。その後1万円台を回復するも、2008(平成20)年にはリーマンショック後の景気悪化で再び下がり、10月28日には一時バブル崩壊後の最安値となる6994円90銭を記録しました。

第二次安倍政権が始まりアベノミクスなどによって経済は回復し、日経平均は2015(平成27)年に再び2万円を超えました。2018(平成30)年10月2日にはバブル崩壊後の最高値となる 2万4448円07銭を記録しています。2019(平成31)年の取引初日(1月4日)の終値は1万9561円96銭でした。

「為替(ドル円レート)」――東日本大震災後、史上最高値の一時75円32銭に

平成時代のドル円の推移は、主要国がドル高の是正で合意した1985(昭和60)年9月の「プラザ合意」抜きには語れません。240円台だったプラザ合意直前の相場は、平成に入った1989年には東京市場で120円台から140円台で取引されるまでに円高が進み、1995(平成7)年4月には一時79円75銭と80円割れを記録しました。

2000年代に入ってからは100円台から120円台で推移しましたが、2011(平成23)年には東日本大震災の発生による円需要の高まりなどによって再び1ドル80円を割り、その年の10月末には現在まで破られていない円の最高値75円32銭を記録しました。

その後は円安がなだらかに進み、2018(平成30)年夏以降は107円台から114円台で取引されています。

「政策金利」――平成元年は2.5%、そしてマイナス金利時代に

「マイナス金利政策」という言葉をよく耳にします。現在も日本銀行が続ける金融緩和策で、民間銀行が日銀に預ける資金の一部にマイナス金利を適用するというものです。金融機関同士が短期の資金を貸し借りするときの利率(無担保コールレート翌日物)もマイナスです。この金利は現在の「政策金利」に当たり、2016(平成28)年2月中旬からマイナスとなり、2019(平成30)年2月21日現在はマイナス0.058%です。

しかし時代を遡ってみると、平成が始まった1989(平成元)年1月当時、日本の政策金利と言えば「公定歩合」(当時2.5%)でした。公定歩合は日銀が民間銀行へ貸し付けを行うときの金利で、民間銀行の金利の自由化が実現する1994(平成6)年10月までは、政策金利は公定歩合を指していました。

このように、政策金利の対象が変わり、さらには政策金利がマイナスに突入したのが平成であったと言えるでしょう。

「大卒初任給」――失われた10年で伸び悩むも、大卒で男女とも20万円台に

平成元年の1989年、大卒の初任給は全企業規模平均で男性が16万900円、女性が15万5600円でした(厚生労働省、産業別新規学卒者の初任給の推移<平成元年~平成30年>より)。当時バブル期を迎えていた日本では、その後数年間、初任給の金額が前年比で男女ともに5%前後増える時代が続きました。

しかし、バブル崩壊とともに初任給の伸びは減退し、1995(平成7)年には大卒の女性、1996(平成8)年には大卒の男性の初任給がついに前年比でマイナスになりました。バブル崩壊後の1990年前半から2000年前半は、景気が低迷した「失われた10年」とも呼ばれ、初任給が上がることへの期待感は非常に乏しい時期でした。

その後、大卒の初任給は景気の回復とともに2008(平成20)年には男性で20万円台となり、2018(平成30)年は過去最高の21万100円となっています。女性は2016(平成28)年に20万円台に到達しています。

「貯蓄」――貯蓄額は500万円以上増えるも、年収は減少基調

政府の貯蓄動向調査と家計調査報告(2018年5月公表)によれば、2人以上の世帯における「貯蓄現在高」(平均値)は1989(平成元)年は1311万円で、その後は増減を繰り返しながらもなだらかに伸び、2017年は当時より501万円以上多い1812万円です。

一方で年収は、1989年は641万円だったのに対して、2017(平成29)年は伸びるどころか約24万円も少ない617万円となっています。ピーク時の761万円(1995年、平成7年)から比べると、実に149万円も少なくなっています。

ちなみに、貯蓄額を年収で割って「貯蓄年収比」を算出すると、1989年の貯蓄年収比は204.4%で、年収の約2倍が貯蓄現在高となります。2017(平成29)年は293.7%で、年収の約3倍の金額を貯蓄しているということになります。年収が増えないどころか減っている中で、貯蓄は増やしていることが分かります。

「平成」に得た教訓を活かして……

平成元年から平成31年の現在までで、最も印象に残っている出来事、振り返ってみて驚く変化は何でしょうか?平成が終わる2019年4月末まで残りわずか。平成を振り返り、新時代を迎える準備をしてみてはいかがでしょうか。(提供=auじぶん銀行)

執筆者:株式会社ZUU

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