2019年10月1日に、消費税率が8%から10%に上がります。仮に毎月28万円の消費支出(※)にすべて消費税がかかるとすると、負担が月に5,600円、年間67,200円増えることになります。少しでも負担を減らすために「増税前に買っておこう」と思う人もいるかもしれませんが、焦ると思わぬ落とし穴にはまってしまうかも…。消費税前に買うもの、買わないものを冷静に見極めましょう。

(※)「総務省統計局家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要―」の2人以上の世帯(平均世帯人員2.98人,世帯主の平均年齢59.6歳)の消費支出

増税後も値上がりしないものは慌てて買わなくていい

消費税アップ
(画像=PIXTA)

まず、消費税率が上がっても直接影響のないものもあります。消費税が非課税のもの、たとえば土地代、家賃(事業用物件を除く)、住民票などの行政手数料、保険料、お産費用、保険診療費や介護保険サービスの費用、一定の学校の授業料・入学金などです。これらは消費税がかからないので、駆け込みで検討する必要はないでしょう。

飲食料品(ただし、お酒や外食は除く)や週2回以上発行される新聞などは、「軽減税率」が適用されます。これは、生活に最低限必要な品目は消費税が8%のまま据え置かれるという制度によるものです。このように、生活支出のすべてが増税の影響を受けるわけではありません。

遊園地や美術館の前売り券は増税前に買うとお得に

増税前に買っておいたほうがいいものは何でしょうか。遊園地や美術館などの入園・入場券は増税前に買っておくべきです。10月1日以降に使用する場合でも、9月30日までに消費税率8%で購入しておけば、入場の際に増税分を追加で支払う必要はありません。

また、電車や航空券などの運賃も、利用(乗車・搭乗)が10月以降でも増税前に買っておけば消費税は8%で済みます。電気・ガス料金、雑誌の定期購読などで9月30日までに申し込みをしている場合も同様です。

ただし、注意が必要なものもあります。たとえば通信販売の場合は、旧税率が適用されるのは2019年3月31日までに価格の提示があったもので、2019年9月30日までに申し込みをした場合です。商品やサービスの受け渡し前に契約を取り交わすのが一般的なものに関しては、特に契約時期に注意して購入する必要がありそうです。

住宅、自動車、家電……高額な買い物はどうしたらいい?

気になるのは、住宅や自動車などの高額商品です。

まず、住宅の場合は増税後に各種取得支援制度が拡大される予定です。たとえば、一定の条件を満たした新築・中古住宅を購入した場合にもらえる「すまい給付金」は、消費税8%では収入額の目安が510万円以下の人に最大30万円の給付額が、消費税10%の場合には同じく目安が775万円以下の人に最大50万円が給付されます。「住宅ローン控除」についても、消費税10%が適用される住宅の取得に関しては、控除期間が10年から13年へ3年間延長されることが決定しました。

自動車はどうかというと、増税に伴って自動車取得税が廃止され、「環境性能割」が導入されます。電気自動車や燃料電池自動車などは非課税ですが、ガソリン車の場合は平成32年度燃費基準の達成度合いによって車体取得金額の1~3%が課せられます。なお2019年10月1日から2020年9月30日までに自動車を取得した場合は1%減税となるので、税率は自動車取得税(車体取得金額の3%)よりも安くなります。

また自動車税についても、2019年10月1日以降に登録を受けたものは減税の対象となります。たとえば、総排気量1,000cc以下の場合は現行の2万9,500円から2万5,000円に下がります。ただし、自動車取得税や自動車税が廃止・減税になっても、消費増税分を相殺しきれないでしょう。

住宅、自動車ともに駆け込み需要が高まるため、増税前は値引き交渉に応じてもらいにくくなります。家電製品に関しては、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの白モノ家電は生活必需品であり、値崩れしにくいので増税前の今が買い時。一方、テレビやカメラなど(黒モノ家電)は買い替えの必要性は白モノ家電ほど高くないでしょうから、急ぐ必要はないかもしれません。

たかが2%、されど2%。消費税増税は、ジワジワ家計を圧迫します。増税後は増税分以上の「便乗値上げ」も考えられます。買い物をするときは、価格の比較や値引き状況をチェックをするなど、しっかり増税対策をしていきたいものです。(提供=auじぶん銀行)

執筆者:冨士野喜子(ファイナンシャルプランナー)

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