副業を認める企業は増加傾向にありますが、働く人が働き方改革に求めていることは、副業や兼業を職場に認めてもらうことなのでしょうか。各種の調査から働く人のリアルな望みに迫ってみます。

副業の促進、国もガイドライン策定で後押し

働き方改革
(画像=PIXTA)

厚生労働省は2018年1月、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成しました。副業などを希望する人が増えていることを受け、副業や兼業についての法的解釈や裁判例、企業側と労働者側のメリットや留意点などをまとめたものです。

このガイドラインの中では、労働者にとっての副業のメリットとして、所得の増加のほか、新たな経験やスキルを習得してキャリアアップできることや自己実現を追求できること――などが挙げられています。また、企業にとっても、離職の抑制や事業機会の拡大につながるなどの利点があるとし、副業が可能な職場が増えていくことが重要だと説明しています。

また中小企業庁では2016年に「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会」を設置し、2017年3月、日本経済の活性化に向けて必要だとされる開業率の増加について、兼業や副業の促進が効果的だとする報告書をまとめています。日本型とも言える長期雇用のシステムが揺らぐ中、「企業は正当な理由がなければ兼業・副業を制限することはできないものとされるべき」とも言及しており、副業などを強く推奨しています。

2018年7月に公表された「平成29年就業構造基本調査」の結果の概要によれば、副業をしている人の割合は4.0%で、5年前の前回調査から0.4%増えています。副業希望者は6.4%でこちらも増加傾向にあり、国もガイドラインの策定などでこうした現状に対応しているというわけです。

働く人が本当に実施してほしいと思う施策は?

こうした状況の中、興味深い意識調査が、大手インターネット接続事業者のBIGLOBEが2018年3月に実施した「働き方改革に関する意識調査」です。全国の20〜50代の社会人男女計800人に「働き方改革で実施してほしい施策」を複数回答可で聞いたところ、「副業・兼業の許容」を上回る項目がありました。それが「休日・休暇取得ルール改善」と「育児・介護と両立しやすい環境づくり」です。

「導入してほしい」と「どちらかと言うと導入してほしい」の両方の回答を合わせると、「副業・兼業の許容」は87.1%でしたが、「休日・休暇取得ルール改善」は90.8%、「育児・介護と両立しやすい環境づくり」は90.1%とそれぞれ9割超えとなりました。

働き方改革
(画像=じぶん銀行)

この結果からは、副業や兼業が認められることに対する希望は依然としてあるものの、休日の取りやすさや、育児休暇や介護休暇・時短勤務などの整備などが強く望まれていることが分かります。「長時間労働対策」の実施・導入についても「導入してほしい」と「どちらかと言うと導入してほしい」を合わせると83.7%に上っており、高い数値を示しています。

休暇取得ルール改善、実際の取り組み率は低く

この調査では、職場における各施策の実施状況についても調べています。調査結果によれば、ノー残業デーや週40時間上限などの「長時間労働対策」は38.6%、「育児・介護と両立しやすい環境づくり」は37.0%、「休日・休暇取得ルール改善」は27.9%という結果になっています。

つまり「休日・休暇取得ルール改善」は導入してほしい施策として最も回答が多い一方で、実態はあまり取り組みが進んでいないということになり、休日の取りやすさをめぐっては働く人の理想と実際の職場環境に大きな隔たりがあるということが分かります。

適度に休暇を取得することは社員のモチベーションを高めることにつながり、逆に連続勤務が続けば社員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性が高くなります。厚生労働省もこうした理由や離職リスクの上昇などを防ぐ意味でも、企業に対しては働き方や休み方の見直しや改善を促しています。

2019年4月から「働き方改革関連法」が順次施行

今日では、「在宅ワーク」と呼ばれる新たな勤務形態のほか、業務の進め方や時間配分などが労働者側に委ねられる「裁量労働制」の導入を求めている人も少なくありません。始業時間と就業時間を自由に決めることができる「フレックスタイム制」の導入を求めている声も依然としてあります。

2019年4月からは「働き方改革関連法」が順次施行されます。時間外労働の上限規制や有給休暇の取得の義務化などが導入され、職場改革の第一歩が踏み出されます。ただ、働き方改革は始まったばかりです。国には今後も働く側の要望なども適切にくみ取った上での政策の舵取りが求められ続けていくでしょう。(提供=auじぶん銀行)

執筆者:株式会社ZUU

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