生命保険料控除の改正を説明
日本は世界第2位の保険加入者数を誇る、生命保険大国です。1位はアメリカですが、人口に占める割合は、圧倒的に日本が世界一。実に9割の国民が共済を含む生命保険に加入しています。
国内に拠点を持つ生保会社が加盟する、生命保険協会の調査によれば、平成24年度の新規契約数は1967万件、保険金額が71兆円にも及びます。累計の保有件数(現存しているもの)は、1億3601万件、保有契約高は実に861兆6513億円に上ります。まさに、国民ひとりが1件ずつ保険契約していることになります。
そして、861兆という金額は国家予算の8年分にも及ぶ保険金総額。平成24年度の保険金等支払額は約40兆円あり、全てが加入者の支払った保険料から賄われています。ここまで巨大な互助会は世界にはなく保険会社自体が力のある圧力団体であるため、13あるうちの一つに税制控除として「生命保険料控除」が継続しているのです。ですが、近年の国の財政悪化のため財務省は控除廃止を目論みましたが、平成24年1月1日契約分より「改正」というかたちで変更されました。
内容は従来の一般生命保険と個人年金保険の2種に加え介護医療保険を含めた3種類になり、所得税控除額の合計が最大12万円に変わりました。以前は2種で最大10万円だったため単体ごとの上限は5万円から4万円に下がりましたが、大枠で2万円増加されたのです。
生命保険にあたる商品は
生命保険料控除は一般生命保険とそれ以外に分かれています。一般生命保険には定期保険、終身保険、養老保険、学資保険などが含まれており、控除による所得税の軽減と住民税の軽減の2つが生じます。具体的な金額は後述しますが、注意すべきポイントがありますので、先に記載します。
生命保険に加入したタイミングが平成23年12月31日以前場合は、生命保険料控除は一般生命保険と税制適格年金保険と呼ばれる個人年金保険であり、所得税の最大控除額は5万円、住民税の最大控除額は3万円のままです。
ただ、転換(終身保険、養老保険などの貯蓄部分を下取りにして、新しい保険に再加入させる方法。その際、下取り分が新しい保険の保険料に充当されるため、今までの保険料と同等の値段で加入する)、更新(定期保険で、継続して同じ保険に健康診査なしで加入する)の場合は、全くの新規保険扱いになるため、新しい生命保険料控除の適用になります。
また変換(保険料をそのままに、終身保険から定期保険、あるいは介護保険などに、健康診査なしで商品を変えてしまうこと)の場合も同様であり、特に介護保険に変換することで、介護保障を得る加入者にとっては、新たに上限4万円の控除と、住民税2.8万円の控除が得られることになります。
では、保険料控除の内容を記載しましょう。所得税の場合、年間保険料が20,000円以下は、全額控除。2万円以上4万円未満、4万円以上8万円未満、8万円以上は一律40,000円と4つに区分けされます。住民税も保険料の額により、控除の区分けが4つに分かれており、最大で一律28,000円です。つまり、ひと月6,667円以上保険料を払っている場合、合計68,000円の控除があるわけです。
これが一般生命保険と個人年金保険、介護医療保険の3種類全てで6,667円以上の保険料であるならば、所得税の控除合計12万円、住民税の控除合計7万円、計19万円を受けられます。ここで、注意すべき点ですが、旧制度(平成23年末までの契約保険)と新制度の両方を持っている場合は、所得税12万円、住民税7万円の適用となります。