日本に女性富裕層はどのくらいいるだろう。

本特集では女性富裕層の中でも特に年収2000万円以上の女性を「女性富裕層」と考えている。国税庁の「民間給与実態統計調査」(2016年分)によると、女性の給与所得者(2006万9000人)のうち、年収2000万円を超える女性は1万8000人とわずか0.09%。ちなみに給与所得者全体の平均給与は422万円、女性に限ると280万円である。

独立系のM&Aコンサルタントとして働く山中さん(仮名)は40代で年収2000万円を超えるキャリアウーマンである。夫も年収が億を超えるという超パワーカップルだ。

一体、どのようなライフスタイルを送っているのだろう。山中さんがそこまで稼ぐようになった経緯、現在のライフスタイル、お金の使い方などを伺った。自分も、彼女に近づくことができるだろうか。(聞き手 くすいともこZUU online編集部、DAILY ANDS編集長)

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世界の女性富裕層の割合とは? 女性ビリオネアが多い国

おしゃれカフェに訪れた、優しそうなお姉さん

女性富裕層の世界#05
(画像=PIXTA, ZUU online編集部)

5月中旬、都心のおしゃれカフェの奥まった席で、ドキドキしながら時間が来るのを待っていた。稼いでいる女性とはどのような人生を送ってきた人なのだろうか。バリキャリ風の方で、キレるタイプなのか……。想像力を働かせていると、近くの席にいるノートパソコンで作業をしていた女性に話しかけられた。

少し長い黒髪をキレイに束ね、白いレースのインナーにオフホワイトのジャケットを羽織った、ふんわりと優しい雰囲気をまとったお姉さんだった。バリキャリでキツイ印象の女性、あるいは少し派手めな格好をした女性をイメージしていたので正直、意外に感じてしまった。

これまでの経歴を聞くと、新卒で金融機関に勤めた後、20代後半で独立し、現在は中小企業の経営者などを相手に働いているそうだ。顧問料などを合わせると年収は2000万円を超えるという。

——まず、現在のお仕事や給与形態について教えていただいてもよろしいでしょうか。

独立系とはいえ一応、私は会社に所属しているので月給はあります。ただ、月給は微々たるもので、メインは歩合給です。顧客や携わる案件によって収入は多少変化しますが、比較的安定して稼ぐことができると思います。

——独立しようと決めたのはいつですか?

20代の金融機関勤務時代ですね。私、生涯仕事を続けていきたいと思っていたんですが、当時の勤務先に女性で出世している人が少なくて。

独立すればフリーランスのような働き方ができるから、自分で仕事量も調整できる。子どもを育てるという夢を諦めずにビジネスをやることができる、と思い独立しました。

当時、アメリカではすでに、フリーランスのような働き方をしている人が多くて、「これならいけるかも」と思いました。

——これまで年収がどのように変化してきたのかを教えてください。

会社員時代と独立した後で2段階にキレイに分かれていますよ。会社員時代は月収20万円程度でスタートして、独立してから年収1000万円を超えて、そこから多少の増減はありつつ、少しずつ上昇してきた感じですね。

稼げるようになって変わったこと

——稼げるようになって変わったことは何ですか?

生活自体はそんなに変わらなかったですが、時間の使い方が変わりましたね。ジムに通うこと、健康的な生活をむしろ送るようになったと思います。

20代の若いころは年収が高くなって、その収入でポンッと数百万円を使うような時もありましたが、30代を過ぎてからは、地味だと思いますよ。

——ぽんっとお金を使えるのはいいですね。そのほかには普段、何にお金を使っていますか?

私、それほど使わないほうだと思いますが……。クルマや旅行にはお金を使いますかね。海外旅行は年に3回ぐらい行きます。

——旅行は何をしに行くのですか?

観光のようなものはせず、あまり何もしないですよ。現地で本屋さんへ行ったりして、ひたすらボーっとする。子どもたちと公園に行ったり、ハイキングをしたり。自然を堪能します。

——「何もしないために旅行に行く」理由はありますか?意識してそういう時間を設けているのでしょうか。

日常空間から離れるっていうことかもしれないですね。

仕事には気力が大事なので、プラスになるのだと思います。お金を持っている人って案外、派手じゃないのかな、と。

私の経営者仲間には確かに華やかな方もいます。プライベートジェットに乗っている方や、一晩の会食が100万円を超える方……。ただ、私くらいレベルだと、そういった派手なことは特になくて。

——洋服はどうしていますか?

デパートで買うことが多いですね。あまり流行に興味がなく、わからないのでデパートの無料のファッションアドバイザーの方に見繕ってもらうこともあります。私のビジネス仲間の友人は洋服を買うのが面倒くさいと言って、半年に1回、50万円ほど渡してコーディネートしてもらっている人もいますが。

——ファッションで気をつけていることはありますか?

仕事をするときは明るめの色を着るということですかね。もちろんダークカラーのスーツを着ているときもありますが、年齢も上がってきたので、明るめを着たほうが印象が明るくなっていいかな、という程度です。

——パーソナルカラー診断は受けたことはありますか?

受けたことはないですが、色ってすごく重要だって言われますよね。講演会もよく開催していますし、「人は見た目が9割」って言いますから。一度診断してもらうと良いのかもしれませんね。

——コンサルタントも「見た目が9割」ですか?

どうかしら?清潔感があればいいんじゃないかな。

女性が華やかにしていると、男の人にちょっと警戒されることはあります。ただ、仕事をしていく中で自分自身を理解してもらえたらいいと思っています。

子どもという無理難題と付き合う

——最近、他にハマっている趣味はありますか?

育児かな?子どもは同じ環境で、同じように育てたつもりでも、全然、育ち方が違って。性格も、体質も、育てる大変さも全然違う。子どもほど難しい問題ってないな、って思う。

人生って、ある程度コントロールできるじゃないですか?

——……そうですか?

「ミシュランの星付きレストランであれを食べたい」「海外のリゾート地に旅行に行きたい」と思ったら、なんとか頑張って、1年間お金貯めて実現することもできるかもしれない。そうやってある程度は思い通りになっていくのだけれども、子どもには全く通じない!思い通りに行動できない、自分はトイレに行くタイミングさえ、コントロールできない、無理難題。まあ、でも、その無理難題と付き合うことが、面白さだったりもします。

——無理難題と付き合うためにやっていることはありますか?

広い心、達観すること。あとは、30代に入ってから続けているジム通いかな。子どもたちを預けた後、ジムに行って、仕事の前に30分でもスッキリしてから仕事を始めます。

——体力のためですか?それとも、リフレッシュのため?

リフレッシュのためかな。仕事の前に子どもたちを送り出すこと、その間に “事件”もいろいろ起きて、ジムに着く頃には、「疲れてますね」ってトレーナーさんに言われるくらい疲れていますが、なぜかワークアウトすることで思考回路がすっきりします。

育休、産休を取らずに家庭とビジネスを両立

——家庭と仕事はどのように両立されているんですか?さすがに出産や育児のときは仕事を休みましたよね?

私、子どもが2人いるのですが、出産・育児の間も続けられました。ほぼフリーランスのような働き方なので、産休や育休は一切取れず。出産の日も、同僚と仕事の電話をして「今から、出産するから!」って(笑)。

——本当ですか(笑)。普段の働き方はどのような感じですか?

フレックスタイム制になっているので、一部自宅で仕事をするなどして調整しています。

一日の時間の使い方としては、まず朝起きた後、いろいろ家事を済ませて、子どもたちを送り出して、時間があればジムへ行って少し運動をする。そのあと仕事をして……という感じですね。

——家計管理についてもお伺いしたいです。口座はいくつか分けて管理していますか?

証券口座と銀行口座の2つだけ。いくつも口座があると管理が大変じゃないですか?

——大変です。旦那さんとはお財布は別々ですか?

別々です。お互いの資産状況はあまり知らないです。生活費や子どもの教育費は夫の収入から出して、私は自分の欲しいものがあったら自分の貯金から出す、みたいな感じです。

——もし万が一、どちらかに何かがあったらどうしますか?

口座の番号やパスワードはお互い、まとめて保管しています。何かあったらこれを見てね、と。

——家事、育児の分担はどうなっていますか?

100%私です。夫は家事がまったくできないのですよ。生活能力がなくて。もし、結婚するなら生活能力ある人と結婚したほうがきっと楽でいいですよ。

——私の夫は家事能力は非常に高いのですが、あまり仕事が好きな人じゃなくて、逆に仕事の話をあまり共有し合えない、という側面があります。

それで言うと、確かに私の夫は仕事がすごく好きですね。これほど面白いものはない、と思っている。なんなら夫婦で、仕事の話ぐらいしか盛り上がらない。共通の趣味がないから……。経済動向の話のときだけ2人で盛り上がったりするけれど、あとは子どもの会話くらいかしら。

そう思うと、家事を手伝ってくれて、共通の趣味がある男性と結婚されることをおすすめします。

結婚相手は「仕事しかできない人」

——結婚の決め手は何だったんですか?