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株式会社コジマ笑店代表取締役の小嶋崇嗣氏(画像=Foodist Media)

2つの観点から読み解く『座魚場 まるこ』の可能性

世界貿易センタービルの建て替えを控え、大きく変貌を遂げようとしている浜松町。羽田空港と浜松町駅をつなぐ東京モノレールの発着駅もあり、増え続けるインバウンドに寄せられる期待も大きい。

そんな街の中でひときわ賑わいを見せる店がある。それが『座魚場 まるこ』だ。浜松町駅の南口から徒歩3分ほどの場所だが、首都高速の近くでビジネス街の端にあるため、立地はそれほど良いとはいえない。それにもかかわらず、2019年3月5日のオープン以来、ファンを増やし続け、ビジネスパーソンを中心に多くの客が足を運ぶ。

手掛けたのは稀代の居酒屋ヒットメーカーである株式会社コジマ笑店・代表取締役の小嶋崇嗣氏だ。同氏は宇野隆史氏が率いる楽コーポレーションを卒業後、吉祥寺で『呑・喰・燃じぃま』をオープン。その後、『まんまじぃま』『酒呑気まるこ』『まるこセンター高円寺』、そして『炉端酒場 だぃつ』と展開を続けるが、その出店エリアは吉祥寺から高円寺、渋谷、青森県八戸市と幅広い。また、店舗のキラーコンテンツも野菜豚巻き串や炉端焼き、クラフトビールにタコスとそれぞれ違う。それでもすべての店舗を地域に根付かせ、ヒットを飛ばす。

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ビジネス街の中でひと際大きな存在感を放つ『座魚場 まるこ』(画像=Foodist Media)

そして新たな挑戦の場として浜松町に進出。出店の理由は大きく二つある。その理由について、小嶋氏は次のように話す。

「今回、スタッフのことを考えて浜松町に進出しました。まずは働き方改革からの観点です。ここ数年、うちでは結婚をしたり子どもが生まれたりするスタッフが増えています。そこで仕事だけでなく、家族も大切にしてほしいと思い、土日を休みにできるビジネス街に出店をしました。ビジネス街ではランチのニーズが高いので、ランチ営業も行えます。昼間の時間帯なら産休から復帰したスタッフも出勤できるので、多様な働き方を提示することができるようになりました。

もう一つの理由は、社員の独立後のことを考え、力をつけられる環境を作りたかったからです。ドミナント展開すると、会社としてはリソースを効率的に活用できるでしょう。しかし、社員に力がつきません。似たような属性のお客さんを相手にするだけでなく、仕入れやシフト作成を間違えても、近隣の店舗からサポートを受けることができますから。幅広い業態をはじめ、繁華街や住宅街、ビジネス街と幅広いエリアで経験を積むからこそ応用力がついて、独立後の成功確率も高めることができます。そうした思いもあり、浜松町への出店を決めました」